<ヤクルト10-2巨人>◇30日◇神宮

 高田ヤクルトは小技だけじゃない。8番福川が4点リードの7回2死満塁から、ド派手なグランドスラムで息の根を止めた。今季チーム1号は自身06年9月7日の中日戦以来となる満塁弾。「まぐれ。ヒットでつなごうと思った」と謙遜(けんそん)しながらも笑顔で振り返った。

 高田監督も「巨人相手に2、3点差じゃ試合は分からないから、貴重な本塁打だった」とたたえた。福川には高田監督は高校(大体大浪商)の大先輩。キャンプ中、居残り練習で何度も打撃投手をしてもらっただけに、開幕3連勝をプレゼントする恩返しの1発になった。

 初回に2連続二塁打で先制するなど、巨人のお株を奪う長打で得点を重ねた。開幕1、2戦は機動力を絡めたスモール野球で勝利した。前年最下位球団が優勝チームに開幕カード3連勝は史上初。福川は「ラミレスを取られたし、異常なくらい意識していた」と気持ちがバットに伝わった。

 新監督開幕3連勝は80年武上、99年若松に続いて高田監督が3人目だ。巨人相手の開幕3連勝も、58年国鉄時代以来の快挙。高田監督は「開幕3連勝するなんて、誰も信じていなかったでしょう。自分でも信じてなかったしね」といたずらっぽく笑った。バラエティーに富んだ新生ヤクルトが最高のスタートを切った。【松本俊】