<西武6-2ソフトバンク>◇30日◇西武ドーム

 西武ドームの花火がうらやましかったに違いない。ソフトバンク王監督は通路で感嘆の声を漏らした。「4本で4点か。しゃあないな。それにしてもドカンドカンと花火を上げられちゃった」。西武の4発攻勢の前に連勝は2でストップ。お立ち台から聞こえる中村の「明日もおかわりします」という決めぜりふを耳に、移動バスに姿を消した。

 大隣の顔色が急変した。3回まで王監督も「完封するかと思った」と完ぺきな内容だったが、4回だ。片岡と中島にそれぞれソロ本塁打を浴び、逆転を許した。7回にも2発を浴び、6回0/3、4安打4失点でマウンドを降りた。昨年5月6日西武戦の田之上以来、大隣自身も「野球をやってて初めて」という1試合4被弾で試合は決まった。

 まるで6試合8被弾の大場から1発病が伝染したようだ。大隣は4試合連続で7被弾。この日はすべて直球を強振された。王監督は「よく飛ぶよね。(2戦連発の)中島のなんか、昨日、今日と右中間の一番深いところ。コースは悪くないのに。中村もバックスクリーン。うちの投手の球は飛ぶのかな」と首をひねるしかない。ただ、中島以外の3発は甘い球をとらえられており、課題は残った。

 同時に遺恨も残った。大隣は4回の2被弾直後にブラゼル、G・G・佐藤に連続死球。西武ベンチの怒りを買い、両軍もみ合いになった。5回にも細川に死球をぶつけ、渡辺監督が顔を真っ赤にして抗議し、乱闘寸前だった。王監督は「死球のない野球はない。石井一は死球がなかったし、技術を上げるしかない」と話したが、後味は悪かった。

 首位西武はリーグ最多43本塁打を数え、うちソフトバンクは15本を献上。自軍は小久保に1本が出たものの、リーグ最少タイの17本塁打。その対照的な現実が5位という順位を示した夜だった。【押谷謙爾】