<中日4-10阪神>◇5日◇ナゴヤドーム

 猛虎打線が初回表に1番赤星から1四球を挟んで6連打で7連続得点。中日の虎キラー中田をあっという間に粉砕した。その最初の1点はやはり、この男のバットから生まれた。新井だ。赤星二塁打、平野は送りバント失敗後、強行策に切り替え内野安打として無死一、三塁。カウント2-2からファウルで粘って中田を追い込む。そして8球目のフォークを左前に運んで仕留めた。中田に与えたダメージは計り知れなかった。

 新井

 チャンスだったし、絶対先制したかったんで、気持ちを入れて打席に入りました。狙い球はなかった。どうしても点が欲しかったんで。中田はいい感じも悪い感じもなかった。

 金本が歩いて無死満塁。5番葛城は、たたきつけて三塁の頭上を越える2点適時打。もう止まらない。鳥谷が二塁打、矢野も左翼フェンス直撃の三塁打で6点を奪取した。とどめは関本の中犠飛。これがこの回、最初のアウトでスコアボードには「7」が輝くように刻まれた。

 4日、延長10回の激闘は藤川がサヨナラ被弾で敗れている。だが、こんなときに頼りになる男が新井だ。新井が打点を挙げれば、チームは必ず勝つ。そして負けた次の試合で新井が打点を挙げなかったのは、わずか1試合しかない。阪神が開幕から31試合を数えても連敗がないのは、新井の存在が欠かせない。

 自身も2人の息子がいる。そしてこどもを喜ばせたいと、いつも思う。名古屋へ移動した2日。新神戸駅のホームで、緊張して声を掛けるファンの少女に「いいですよ」と、優しい笑顔で記念撮影に応じた。

 岡田監督も「7点は珍しいよなあ。まずは1点と思っていたんだけどな。一、三塁からまた一、三塁になった。あとは4、5、6の左が好調だからなあ」。そして「昨日は負けといってもあんまり負けたような気はしていなかった。連敗がないのは不思議だけどね」と驚きを隠せない。

 これで阪神は節目の4500勝に王手をかけた。今日からは巨人との3連戦。今季初の2ケタ10得点の猛爆攻撃と、最高のはずみをつけて東京に乗り込んだ。【福岡吉央】