<広島5-6横浜>◇5日◇広島

 村田斬りで満点デビューだ。広島の大学・社会人1巡目ルーキー篠田純平投手(23=日大)がプロ初登板を果たした。最速146キロの直球で押しながら、変化球で打者を翻弄(ほんろう)。日大の先輩にあたる昨季セ・リーグ本塁打王の村田から空振り三振を奪い大観衆をわかせた。3回1安打無失点のほぼ完ぺきな内容。試合は猛追及ばず1点差で敗れ5割を逃したが、ルーキー左腕の好投は明るい材料だ。

 5回、先頭村田のバットが3回連続で空を切った瞬間、かたずを飲んで見守っていた2万6516人の観衆から大歓声があがった。尊敬する先輩との初対戦。カウント0-1から直球2球を空振り。篠田が最後に投じたのは得意のチェンジアップだった。「こんなに早く対戦できるとは思っていなかった。次は真っすぐで勝負したいですね」。プロ初登板を果たし安堵(あんど)感に包まれているようにも見えた。

 先発長谷川がまさかの3回6失点降板。4回、「ピッチャー篠田」のアナウンスに市民球場がどよめいた。この日1軍登録されたばかり。2番手でマウンドへ上がった。いきなり大西に11球粘られ四球。並のルーキーなら崩れてもおかしくはないが、続く仁志を146キロで遊ゴロ併殺。「多少は緊張した。でもあの併殺で落ち着きました」。その後、突然大雨が降り出し試合は7分間中断。「特に影響はなかった」。試合再開後は金城を空振り三振。まずは1イニングを切り抜けた。

 5回も村田から三振を奪うと内川を三ゴロ。この日3ランを放っていた吉村には4球連続の直球勝負で空振り三振。6回に初安打を浴びたが、危なげなく乗り切った。プロ初マウンドは3回1安打1四球無失点。文句のつけようのない内容だ。「今日の篠田はすごくよかった」とブラウン監督もたたえた。

 キャンプではへんとう腺のウミをとる手術で出遅れた。3月中旬には2軍降格。その後、2軍戦で4試合に先発し防御率1・13。結果を残して1軍へ帰還だ。試合前には周囲を笑わせた。「明後日(7日)のサーパス戦(北神戸)に投げる予定でした。そしたら昨日電話がかかってきて、2日間の遠征が20日間になっちゃいました」。

 小林投手コーチも「強いボールを投げていた。次が楽しみ。先発もできる」と高い評価だ。青木高が降格、長谷川が不振。篠田にかかる期待は大きい。「勝ちたかったです。次は勝てるように」(篠田)。即戦力左腕が、ようやくスタートラインに立った。【網

 孝広】