<ヤクルト2-10楽天>◇25日◇神宮

 楽天がマー君で交流戦首位タイに浮上した。ヤクルト1回戦で、先発の田中将大投手(19)が自己最速タイの152キロを計測した直球で押して7回を2失点に抑え、打っては6回にはプロ入り初打点を挙げるなど投打で活躍して5勝目を挙げた。交流戦開幕4連勝中だった日本ハムが巨人に敗れたため、楽天が昨年5月25日以来ちょうど1年ぶりに首位に並んだ。

 夜空にハイトーンの叫び声が響き渡った。7回2死から、この日最後の打者を打ち取ると、田中は「っしゃー!」と6度目の雄たけびを挙げた。強気に打者に向かい、抑えるたびにほえまくる。「今日はとにかく(気持ちを)前に、前にでした」。荒々しささえ感じさせるマー君が帰ってきた。

 昨年2回1/3でKOされたヤクルトに、がむしゃらに向かっていった。野村監督が「よく2点で収まったな。バランスが取れてない」と言うように、万全ではなかった。それでも直球は自己最速タイの152キロをマーク。降板後に「足がつりかけました」と言うほど全力で飛ばした。打席でも6回無死一、三塁から初球をたたいて遊ゴロとしプロ初打点。「おまけですよ」と照れ笑いしたが、気持ちは打線に伝わり大量10得点を呼び込んだ。

 周囲も背中を押した。2回を終えた後、ベンチで活を入れられた。野村監督は「ノムラ野球は何だって聞いたら『考える野球です』だって。当たってないとは言わないけど。過程重視だって言ったんだ。お前は結果ばかり追い掛けている。当たり前のことを当たり前にやれ。みんな守ってるんだから1人で野球をするなって言ったんだ」。3回、畠山に同点二塁打を浴びた直後にベテラン山崎武から「焦らずボール球も使っていけ」と声を掛けられた。田中も「あれで落ち着いた。山崎さんが一塁にいるのは全然違う」と感謝した。

 11日ロッテ戦、18日西武戦と2試合続けて5回もたずにKOされた。不意に襲われた2年目のジンクスに正面から立ち向かった。Kスタ宮城のクラブハウスで、打者に立ち向かう自分のビデオを見直した。「(気持ちは)無理やりにでも上げていかないといけないんです」と戦う姿勢の大切さを思い出した。初の連敗後、ブルペンに初めて入った22日には「絶不調です。うそです。まぁ期待しててくださいよ」とニヤリ。屈辱を乗り越えた顔には、ふてぶてしさにも似た力強さがにじみ出ていた。

 チームは3連勝で5月1日以来の貯金2。交流戦では首位タイに浮上した。野村監督は「声が出てた?

 そういう次元じゃないんだよな。心配だよ」と、さらなる成長への激励としてボヤいた。田中は「ここ2試合、ご心配をおかけしましたが、これから連勝できるように頑張っていきます」とファンに両手を振った。【小松正明】