<楽天1-2広島>◇1日◇Kスタ宮城

 戻ってきた背番号42-。長谷川が1軍復帰後の初先発。6回無失点で約2カ月ぶりに2勝目を挙げた。試合は打線がこれまで通算5勝10敗だった天敵ドミンゴを攻略して、最後は永川が締めて4連続セーブとなる7セーブ目。巨人が敗れたため、チームは3位に再浮上した。この勢いで北海道に乗り込むゾ。

 いつ以来のヒーローインタビューだろうか。長谷川は久々の勝利の味をかみしめながら答えた。「1軍で投げられる喜びを感じながら投げていました」。杜(もり)の都のスタジアムに集まったエンジの軍団は2万人。完全アウェーの中、人生初の仙台のマウンドで楽天打線に向かっていった。

 序盤は苦しんだ。初回、安打と四球で2死一、二塁。ここはリックを遊ゴロに打ちとり切り抜けた。2回は1死一、三塁のピンチを招く。続く藤井は右飛。楽天ベンチは同点だと思っただろう。しかしアレックスが好返球で刺した。「1、2回を乗り越えたのが大きかった。回が進むごとに自分の投球ができた」。3回以降は直球、フォーク、カーブを駆使し凡打の山を築く。2回までに3安打を浴びたが、3回以降の4イニングはわずか1安打。その安定感は、昨年後半の長谷川をみるようだった。

 「1軍で投げられる喜び…」。試合後、長谷川はヒーローインタビューでの言葉を繰り返した。今季は開幕3戦目に登板したが、状態が上がらず黒星が先行した。1勝4敗、防御率は6点台となった。5月6日に2軍降格。3週間を超える2軍生活が始まった。「何でダメなんだろう」と自問自答を繰り返す日々。出た結論は「ガムシャラ」だった。「結果ばかり求めすぎていた自分がいた。基本的な部分は変えずに、厳しい練習を積んできました」。そう語る顔は幾分誇らしげに見えた。

 約2カ月ぶりの2勝目。長谷川は昨年、同じように2軍落ちを経験し、はい上がってきた。昨年は4月に1勝を挙げ、2勝目は9月に入ってからだった。「去年に比べたら2勝目が早いですね」と笑顔でバスに乗り込んだ。

 試合は2-1の8回2死一塁の場面で登板した永川が、完ぺきな救援をみせた。8回は山崎武を4球連続フォークで空振り三振。9回先頭のリックは149キロ直球で見逃し三振。判定を不服としたリックが暴言を吐き退場。野村監督が抗議し球場は騒然となったが、まったく動じない。打者4人に対し無安打3三振。永川はこれで4連続セーブだ。

 先発が好投し、守護神が締める。理想的な展開で接戦を制した。ブラウン監督も「今日の長谷川は非常にいい投球をした」とニンマリ。広島の先発ローテは現在、4人目が決まっていない。首脳陣にとって長谷川の離脱は誤算だった。ベンチもファンも待っていた42番。「今日の投球を続けてこそ、戻ってきたといえる」(長谷川)。最後の言葉は、熱を帯びていた。【網孝広】