<阪神5-3楽天>◇17日◇甲子園

 懸命に逃げても、次から次へと強敵が向かってくる。敗れた楽天野村監督は「オレが阪神辞めて何年?

 7年?

 なんでこんな強くなったの?

 スキがないよな。特に投手陣。5回、6回になったら終わりだもん。藤川なんて、フェルナンデス(三振)、赤子の手をひねるようだった」と脱帽するしかない。投手ではJFKがそびえ立つ。打っては林、桧山、高橋光と、代打陣が安打の山を築く。終盤の競り合いで、セ界を独走する阪神との戦力差を、まざまざと見せつけられた。

 得意のやりくりが失敗した。交流戦佳境のこの日から、永井を中継ぎに配置転換。7回に好投ドミンゴに代打を送り、継投に出たのが裏目となった。8回、JFKの一角、ウィリアムスから山崎武が勝ち越し適時打を放ったものの、虎の子の1点を守りきれない。前倒しの継投が災いし、代打攻勢の前に、8回1死から投入した小山が、火だるまとなった。野村監督は「いつも言うけど、先発コケたらダメだな。点数欲しいから、代打出したけど、ドミンゴ続投でよかったな。コーチが『永井がいるから』と言うから、その話に乗っちゃったよ」。

 通算1453敗。知将とうたわれた三原脩監督に並んだ。3年指揮した甲子園での“首位”浮上に、野村監督は「長いことやっていることに値打ちがあるの。悔しかったら、やってみ~。勲章だよ。名が残るよ」と吐き捨てるように言った。ただ、大きな戦力差に直面しても「目いっぱい戦っているんだから。いっぱい、いっぱい頑張っている。そういう過程を経て、成長するんだ」。“金字塔”は、文字どおりの通過点だ。【金子航】