<広島3-0中日>◇8日◇広島

 中日が自力優勝消滅の危機を迎えた。200勝まで4勝の先発山本昌(42)が、6回8安打3失点で今季3敗目。セ・リーグ打率ワーストの打線は広島投手陣の継投にかわされ、6安打で今季4度目の完封負けを喫した。投打に精彩を欠き、泥沼の3連敗。9日の広島戦に敗れ、首位阪神が巨人に勝てば、落合政権5年目で初めて球宴前に自力Vの可能性がなくなる。

 また勝てなかった。チームの歯車を元に戻すことはできなかった。山本昌は真っ先にロッカーから出てくると、うつむきながら帰りのバスへと歩いた。「調子はよくなかった。ただチームがこういう状況なので先に点を取られたのがよくなかった…」。6回3失点で3敗目。阪神に今季最大12・5ゲーム差をつけられ、3位巨人には0・5差。そして4位広島にも2差と迫られる重い1敗だった。

 リーグ再開からこの試合まで2勝6敗のチームにとって初回の先制パンチは効いた。打線が3者凡退に抑えられた直後の1回裏、山本昌は2番赤松から4連打を浴びた。1点で食い止めたものの開始から10分足らずで広島との勢いの差が鮮明になった。2回以降は立ち直ったが、打線がチャンスをつぶし続けて迎えた5回、先頭梵に死球を与えると続く石原に高めに抜けたスクリューを左中間に痛打されて2点目。さらに赤松にタイムリーを浴びた。

 ポイントとなる場面で踏ん張れないベテランに落合監督はもどかしさを隠せない。「5回?

 いや、初回からだろ。(打線が)ゼロで抑えられているんだったらゼロで抑えないといけない。それが(先発の)宿命だ」。3連敗阻止を期待して送り出した山本昌は、これで6戦連続勝ち星なしとなった。

 投手のリズムに打線が引っ張られたのか?

 落合監督は最後まで笑うことなく言った。「そんなの引っ張られているようじゃ困るだろう。(投打が)互いに助け合わないとな」。かろうじて2位にはいるが、Bクラス転落の危機はすぐそこにある。オレ竜が今季最大の正念場を迎えた。【鈴木忠平】