ナゾ多き長身助っ人右腕がオレ竜の活路を開く?

 現役最長身204センチを誇る中日マキシモ・ネルソン投手(26)が、15日にも初めて1軍に登録される。14日、巨人と2連戦の北海道シリーズに備えて旭川に移動。ファームでは3試合登板と実戦経験が少ないままで、異例の昇格を果たした。故障者続出で投壊状態の落合竜。自称最速163キロと豪語するオレ竜の秘密兵器が、2位との直接対決でベールを脱ぎ、救世主?

 になれるのか。

 ビッグな助っ人右腕が、苦境に風穴をあける?

 ネルソンは、大きな体を縮めてスタルヒン球場へ到着する選手バスから下りた。チームメートより頭ひとつ抜け出た大男は不敵な笑みを浮かべて「体の状態、調子はグッドだ。初めての遠征に来て楽しみ」と言い切った。

 スタルヒン球場では早速ブルペンに入って心地いい汗を流したネルソンは、長204センチから投げ下ろす自称163キロというスピードボールが最大の武器だ。中日では160キロは出してないが、150キロ台は記録。試合では中継ぎ起用が予想されている。この日は2年目清水昭が登録抹消。森バッテリーチーフコーチは「何もなければ明日、登録する」と明言した。

 ナゾの多い助っ人右腕だ。04年にヤンキース傘下のルーキーリーグで活躍して将来を嘱望された。しかしその年のオフに「偽造結婚」が発覚して米国を追放。今年1月にテスト生で来日して抜群の球威を買われて中日と正式契約。しかしオープン戦では緩慢なクイックモーションのために、次々と盗塁を許して開幕は2軍。「ファームでは毎日1時間、クイックの練習をしたよ」。欠点の修正に重点が置かれて、2軍戦はわずか3試合の登板だけ。合計4回を5安打無失点で防御率0・00だが実戦経験の少なさは隠しようもない。それでも「十分に進歩したよ」と自信満々だ。森コーチも「投げるボールがいいのはわかっていた。ただ投球以外を見てなかった。2軍の試合にも投げているし、使えるだろう」と話した。

 チームはリーグ再開後、3勝10敗1分けと下降線だ。現在、2位巨人と2・5ゲーム差の3位で4位広島と1・5ゲーム差。投手陣は先発、中継ぎともに精彩を欠いている。ネルソンは「おれのフォークボールはいいボールだ。チェンジアップもスライダーもあるぜ」と豪語。遠征には携帯型ゲーム機を持参。野球ゲームで相手の選手の名前を覚えるなど、日本に慣れるために必死だ。昨季所属したイスラエルリーグではほぼ無報酬でプレーしたという。年俸10万ドル(約1050万円)に「こんなにもらえてうれしい」と小躍りしたハングリーな秘密兵器が停滞ムードをぬぐい去るかもしれないが、ナゾの助っ人に頼らざるを得ないのも今の苦しい現状を象徴している。【益田一弘】