<中日7-6阪神>◇20日◇ナゴヤドーム

 中日が20日の阪神戦(ナゴヤドーム)で、阪神戦の連敗を6で止めた。今季初の4発で先発金村暁(32)を粉砕。2回に和田一浩外野手(36)が先制ソロ。3回に中村紀が中押し3ラン。5回には主砲ウッズ、和田の連発で突き放した。投げては4回途中から2番手中田が5回を好投。9回に守護神岩瀬が4安打を浴びて1点差まで迫られたが、最後は辛うじて逃げ切った。

 うっぷんを晴らすような本塁打攻勢だった。5回、ウッズが阪神先発金村暁の外角変化球をたたきつぶした。打球は右翼スタンドへ一直線。「ライトに打とうと思っていたんだ。これまでポイントが前になっていた。だから体に近づけようと思っていたんだ」。21号ソロ。6月22日ロッテ戦以来、約1カ月ぶりの本拠地での1発に主砲は豪快に笑った。

 その余韻が冷めないうちに和田が続いた。この日2本目となる12号ソロを左翼へ。この2連発で7-2と突き放し、勝負を決めた。3回には中村紀も16号3ランを放ち、今季初の1試合4発で阪神戦の連敗を6で止めた。「同じチームにずっとやられるというのは悔しい」と和田。「まだまだこれからです」。中村紀がつぶやいた。ライバルにやられっぱなしの現状をだれよりも重く受け止めていたのは主軸を担う男たちだった。

 前夜、阪神に屈辱の6連敗を喫した後、ウッズは落合監督に呼ばれた。「もっと走って、もっと守備練習をしたらどうだ?」。リーグ再開後、打率2割6厘、本塁打はわずか1本…。その間にチームは首位阪神に大きく引き離された。阪神との差はそのまま4番金本との差とも言われていた。落合監督はその4番の不振を下半身の衰えと見ていたようだ。

 一夜明けたこの日、まだだれもいない正午すぎのナゴヤドームをウッズが走っていた。バットを振り、さらにノックまで受けた。「早出の効果?

 そう願いたいね。結果が出たし、これからも続けていくよ」。原点に戻った主砲は早速、復調のきっかけをつかんだ。

 試合後、落合監督は苦笑いで会見場にやってきた。「おもしろかったろうな。見てる人はな」。5点リードの9回、中田に代えて岩瀬を投入するも1点差に迫られる冷や汗の勝利だった。ただ、それでも指揮官は胸を張った。「いい勝ち方だったよ。これまであまりにもだれかにおんぶにだっこが多かった。岩瀬は何年投げているんだ。あいつらにもうちょっと楽させてやらないとな」。ウッズ、和田、中村紀。五輪期間中もカギを握る男たちのアーチショーが逆襲への手ごたえだった。【鈴木忠平】