<中日7-1広島>◇22日◇ナゴヤドーム

 中日が投打の歯車をかみ合わせ、1カ月ぶりに3連勝した。打っては1点を追う3回2死二塁から、打者走者荒木雅博内野手(30)の全力疾走が相手のダブルエラーを誘ったことをきっかけに一挙5点を取り逆転。投げては先発チェンが6回3安打1失点で4勝目をマークした。首位阪神が勝ち、優勝マジック「46」が点灯したが、2位巨人との差は「0・5」とした。低迷を続けていた落合竜も遅ればせながら巻き返しへのきっかけをつかんだ。

 荒木の激走が、2死からの猛攻を生んだ。0-1の3回2死二塁、二遊間に強いゴロを放つと、一塁に猛然と走った。迫力に押されたのか、遊撃手小窪がボールをはじく失策を犯し、谷繁が同点のホームイン。荒木の激走は止まらない。中堅から本塁返球される間に二塁を陥れ、返球が悪送球となり一塁ベンチに飛び込んだことで三塁まで進んだ。「常に先の塁を狙っているので、いけると思ったからいったまでです」。昨季のセ・リーグ盗塁王はさらりと言った。

 ここから打線はつながった。森野、和田、中村紀とタイムリーが出てこの回5得点。左翼線への2点適時二塁打を放った和田は「2アウトからみんながつないだ状況だったので、何としてもランナーを返すつもりでいきました」と振り返った。相手の2失策と8四死球につけ込んで、7安打で7得点を奪った。

 打線の奮起には、伏線があった。荒木は痛みをかかえていた。直前の3回表の守備。無死二塁から赤松の犠打を、チェンが一塁べースカバーの荒木に送球。だが送球がそれて荒木は打者走者赤松と正面衝突。右ひざを強打してもんどりうって倒れた。いつも冷静な落合監督がベンチで立ち上がって顔色を変えたほど。それでも荒木は、試合に出続けていた。実は、満身創痍(そうい)。7日には痛み止め注射を何本も打っていた。「もう体中はぼろぼろだね。でもフルイニング出ているし、続けなきゃいけない」。この日の試合後は足をひきずりながらも「大丈夫。いつもと同じです」と気丈に話した。

 チームは、5連勝した6月22日ロッテ戦以来1カ月ぶりの3連勝を飾った。最近3試合は7点、8点、8点と投手陣を大量援護している。チーム打率はセリーグ最下位の2割5分4厘のままだが、打線のつながりが生まれて上昇気流に乗りつつある。落合監督は「今日は何もないだろ。何もないもん。何もない」と繰り返して満足そうな笑みを浮かべていた。【益田一弘】