<巨人7-0阪神>◇12日◇東京ドーム

 このコンビが打てば勝つ。巨人の小笠原道大内野手(34)が初回に先制22号2ラン、7回にはアレックス・ラミレス外野手(33)がダメ押しの31号3ランを放って阪神に7-0で完勝した。2人のアーチ競演は8度目で全勝を誇り、巨人は2連勝で、首位阪神とのゲーム差を約3カ月ぶりに7まで縮めた。また先発セス・グライシンガー投手(33)はハーラー単独トップの12勝目を挙げた。阪神は泥沼の5連敗となった。

 アベック弾が出れば負けるはずがない。8試合目となったこの日もそうだった。初回、1死一塁で打席に立った小笠原は初球に食らいついた。外角低めに逃げていくシュート。難しい球だった。「(気がついたら)振ってた」という無心の一打は先制2ランになった。さらには7回、4点リードの場面で小笠原が懸命のダッシュ。内野安打でつなぐと、ラミレスが31号3ランで試合を決めた。

 ラミレスにとっては首位阪神との対戦というだけでなく、個人的にも気持ちをかきたてられる試合だった。ベネズエラから実子のアレクサンダー君(14)が来日し初めて観戦していた。U-15(15歳以下)ベネズエラ代表でクローザーを務める息子にいいところを見せたかった。

 さらにこの日はエリザベス夫人と息子のデニー夫妻も観戦。「間違いなく彼らの存在がパワーになった」と喜んだ。谷のユニホームを着て応援した夫人は途中で帰宅し、本塁打をナマでは見せられなかったが「彼女が来てくれた試合は2試合で3本打てている。今度は第1打席から打って見せたい」と笑った。

 小笠原は北京五輪で金メダルを取った競泳の北島からパワーをもらっていた。前日、体のケアのため、早めに訪れた東京ドームのロッカーで100メートル平泳ぎの決勝を見た。「彼はすごいね」と、4年に1度の大会にコンディションを合わせることのすごさに舌を巻いた。これからは野球競技も始まるが「応援してばかりもいられない。こっちが頑張らないと」と気持ちを引き締め直して試合に臨んでいた。

 動機づけは違っても2人の目的は変わらない。目指すのは勝つということだけだ。原監督は「効果的に点が入った。四球からいいところで1本出た」と会心のゲームにうなずいた。一時は13ゲーム離されていたのが、5月13日以来となる7ゲーム差。今年の虎には生えてないと思っていたしっぽが、ようやく見えてきた。【竹内智信】