本拠地ラストはマエケンだ!

 広島は27日からヤクルトと2連戦。いよいよ広島市民球場での最後の2試合だ。初戦はルイス、そして2戦目の“ラストマウンド”を託されるのは前田健の予定。試合後にはさまざまなセレモニーが行われるが、注目は「宇宙戦艦ヤマト」の大合唱。「必ずここへ帰って来ると♪」という歌詞に日本シリーズ出場の願いを込める。

 本拠地最終戦のマウンドに上がった右腕を、広島市民球場を埋めた3万人は今までで1番大きな拍手で迎えることだろう。いよいよその時がやって来た。さまざまなドラマを生んだ51年間。フィナーレを飾るのは若き18番だ。

 4月5日、前田健はプロ初登板を果たした。横浜相手に5回3失点。初勝利は6月18日の日本ハム戦。そして20日の中日戦ではプロ初完封。節目はいつもこの球場だった。「初勝利も完封もこの球場で出来てよかった…」。いくぶん寂しそうにそう話した。初登板の時には「狭い」と感じたというが、登板を重ねるにつれて「投げやすい球場」に変っていった。もちろんファンの声援があってこそだ。

 お立ち台で「初めまして」とあいさつしてから3カ月あまり。7つの白星を積み上げた。「成長したと思う」。本拠地ではこれまで8試合に登板し4勝1敗。27、28日のチケットはすでに完売。3万大観衆の後押しを受けて、自身にとってもファンにとっても、ずっと忘れられないマウンドにのぼる。

 しかし、球団ではこの試合を最後にするつもりはない。試合終了後のセレモニーとして「宇宙戦艦ヤマト」のテーマ曲を選手、ファン一体となって大合唱する。「必ずここへ帰って来ると

 手をふる人に笑顔で答え♪」という歌詞に「日本シリーズ出場」の願いを込める。

 チームは現在、中日と同率3位。28日の試合終了後、再び本拠地で試合をするには、CSに進出して勝ち進み、日本シリーズまでいくしかない。その願いが惜別セレモニーとしては異例の合唱につながった。「地球を救う使命を帯びて

 戦う男

 もえるロマン♪」と歌詞にはつづられている。チームを救う使命は全員に課せられている。さしずめ前田健はヤマトの主人公・古代進(こだい・すすむ)か。何としても連勝して、戻ってくることをファンに約束し敵地への遠征へ旅立つ。【網

 孝広】