日本シリーズが今日1日、開幕する。6年ぶりに巨人と西武が激突するが、決戦を前に早くも火花が散った。東京ドームで行われた10月31日の監督会議で、巨人原辰徳監督(50)が「予告先発なしだと、こちらが有利になる」と特別ルールを提案したが、西武渡辺久信監督(43)が拒否した。原監督の“温情”を理解しながらも、正規ルールでの日本一を誓った。第1戦の先発は巨人が上原浩治投手(33)、西武は涌井秀章投手(22)のエース対決となりそうだ。

 日本シリーズ前日に行われる恒例の監督会議。巨人原監督からの問いに、渡辺監督はきっぱりと答えた。「先発は予告しない形で問題ないです」。要望があれば受けようと思っているという敵将を正面に見据え「予告なしでお願いします」と再度、答えた。球場によってセとパのルールを使い分けているのだから、パ本拠地では予告先発にしても構わないという原監督の提案は見送られ、会議は終了した。

 会見で理由を説明した渡辺監督は「大きな舞台で、読み合いや探り合いをするのもありかなと思いました」と予想合戦を歓迎した。いつもと変わらぬ穏やかな口調だったが、内心は違う。監督として初出場の日本シリーズも、現役時代は10度経験し、先発隠しなどの奇襲攻撃は当たり前。先発投手の左右で打順を入れ替える巨人に対し、西武のオーダーは基本的に不動。予告先発にして、逆に不利にならないとも限らない。さらに「僕たちが有利」と手を差し伸べられる形では、黙って受け入れられるはずはなかった。勝負ごとに、情けは無用。戦いはすでに始まっていた。

 先発陣は涌井、帆足、石井一、岸の4人。故障明けで1戦目から中継ぎ待機させる西口は、状況次第で先発に回すことができる。起用法が流動的な通算159勝右腕が切り札の「ジョーカー」として加われば、先発予想だけでも選択肢は一気に広がる。渡辺監督は「予想を当てる自信?

 どうでしょう。こちらの先発は決まっていますよ」と不敵に笑った。巨人の強力打線を封じ込む構想は固まっているが、手の内は決して見せない。【柴田猛夫】