阪神がFA移籍が決定的な中日川上憲伸投手(33)の獲得に乗り出すことが10日、分かった。FAで先発型投手の補強に備えてきたが、川上がメジャー移籍を最優先としながらも国内移籍の可能性を残す情報をキャッチ。獲得候補に急浮上し、4年総額18億円の条件を準備した。

 南信男球団社長(53)は秋季キャンプ地の高知・安芸で真弓明信監督(55)とチーム編成などを話し合った。会談前に「FAでは投手に積極的にアタックしていく。手当たり次第ではなく、優先順位はあるが」と説明した。真弓新監督も就任以来、先発投手の補強を望んでいて、FA市場を重視してきた。

 川上に対してはFA宣言は確実ながら進路は米大リーグが有力とみていた。それでも国内移籍の可能性がゼロでないとの情報をつかんで再度、検討。少なくとも交渉のテーブルには着けると判断し、獲得に乗り出す方針を固めた。交渉解禁日となる今月20日にも即アプローチし、まずは国内のライバル球団に差をつける戦略だ。

 争奪戦となれば、資金力が豊富なメジャー球団が相手となる。沼沢正二球団本部長(50)はこの日「マネーゲームをするつもりはない。ただメジャー移籍を視野に入れている選手でも、取れる可能性がある限りはアタックする」と説明した。川上の実力、年齢を考慮し、チーム内のバランスを勘案した上で4年総額18億円の好条件を用意し、メジャー側の強大なオファーに対抗する。