中田が来季の“相棒”をじかにオーダーメードする。日本ハム中田翔内野手(19)が今月中にも、岐阜県養老町にあるミズノテクニクスのバット工場を訪れ自分に合ったバットを特注することが3日、分かった。マリナーズ・イチローやヤンキース松井秀喜も訪れたことがある施設だが、1軍未出場の1年目の選手が足を運ぶのは異例となる。直接バットに触れながら究極の1本を探し出し、来季こそ1軍で活躍して心配する兄貴分のダルビッシュ有投手(22)を驚かせる。

 一流打者を目指すこだわりが、自らの足をバットづくりで高い評価を受ける場所へと向かわせた。ミズノのバット工場を訪れることを決めた中田は「(実際につくっているところを)見てみないかと言われたので、行けるなら行きたいと思いました。楽しみです」と笑顔を見せた。

 岐阜県養老町にある同工場は、マリナーズ・イチローやヤンキース松井秀喜のバットもつくっており、「現代の名工」に認定され黄綬褒章を受章したプロバットマイスター久保田五十一氏も在籍している。松井のほか、過去には今季引退した清原氏らも足を運んで実際にバットづくりを見学したこともある。ミズノの担当者によれば「細かい指示を出しながら、理想の形にしていくことができる」と、直接職人へのオーダーが可能。すぐ横にはティー打撃を行えるスペースもあり、自らの手で感触を確かめながら理想の重さ、形に近づけていくことができるという。

 中田はシーズン中から、軽いバットを求めて担当者に注文を重ねていた。プロ入り当初はカブスの福留モデルなどを使用し、慣れてくるにつれ「重いものと軽いもの、どちらも試してみたい」と試行錯誤を開始。球界最軽量と言われた860グラム前後のバットを手にしたこともある。またグリップも「細すぎると扱いづらい」とこだわりを見せ、自らテーピングして握りやすさを求めるなど工夫を重ねてきた。理想の1本に出会えないままシーズンを終えたが、工場に直接足を運べばこれまでの苦労が一気に解消されることになる。

 春季キャンプでは話題を独占しながら、結局1年目は1軍未出場に終わった。“アニキ”であるダルビッシュからは「(来季も)厳しいんじゃないですか、たぶん。本人は自信があるようだけど、そんなに簡単じゃないだろうし、簡単に思うと前に進むのが難しくなる」ときついゲキを受けたばかり。中田は「もう2軍にはいたくない。来年が勝負ですよね」と巻き返しを誓っている。飛躍の2年目とするために、究極の1本を見つけ出す。【本間翼】