V奪回へサバイバル宣言だ。日本ハム梨田昌孝監督(55)が5日、東京都内で日本ハム東京支社の年頭式典に出席し、約800人の職員を前に新年のあいさつを行った。式後には、来月に沖縄・名護で行われる春季キャンプについて、実績のあるベテラン選手もスロー調整を認めない方針を打ち出した。ここ数年慣例化していた2軍での独自調整という「ベテラン特権」をはく奪。ポジション争いを横一線でスタートさせる。

 チームの活性化がV奪回のカギを握る。梨田監督の強い口調が決意の表れだった。キャンプインまで1カ月をきった。「途中で(1、2軍を)入れ替えるのもね…。(ベテランは)秋キャンプも休ませているから。みんな上(1軍)でやらせようと思っています」。実績のある選手についてもスロー調整の特権をはく奪。2軍スタートでの独自調整は認めず、横一線であることを強調した。

 昨年までは、2年連続リーグ制覇をしてオフシーズンが短かったこともあり、希望した選手のスロー調整を認めてきた。昨年のキャンプでは、武田久、武田勝はキャンプ前半を2軍の国頭村で過ごし、後半に主力組と合流した。だが今年はチャンピオンフラッグを失った挑戦者の身。指揮官は「(主力組を)ゆっくりさせることもあるけど、今年はそうじゃない」と語気を強めた。

 守護神だったマイケルを放出したことにより、投手陣の争いも激化。前監督のヒルマン政権下では2軍調整を続けてきた武田久にも「久だって抑えの候補。1軍においておきたい」と特例は認めない意向。昨年21勝を挙げた楽天岩隈のように、2軍での独自調整を容認する球団もあるが「それはそのチームの考え方だから」。手探りだった昨年とは違い、就任2年目で“梨田色”を強めていくつもりだ。

 この日鎌ケ谷で自主トレを始動した武田勝は「もちろん今年は初めから1軍でいくつもりです。しっかり投げられるように準備していこうと思っています」と意気込んだ。ベテランも若手も、主力も新戦力も、同じスタートラインから実力でポジションを勝ち取ることが、チーム全体のレベルアップにつながる。【本間翼】

 [2009年1月6日10時24分

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