巨人の新入団選手が6日、川崎市のジャイアンツ寮に入寮した。高校通算65本塁打のドラフト1位、大田泰示内野手(18=東海大相模)は松井(ヤンキース)、坂本が使った“出世部屋”を割り当てられた。野球、生活用具を一新する中、使い込んだ大学ノート5冊、新品1冊を持参。高校3年間でつづった「野球日記」を心のよりどころとする。日々を無駄にしないという思いで記された「一日一生」が座右の銘。目標の開幕1軍へ向け、真っさらなノートに「巨人大田」の日記を書き込む。

 カバーのかかった真新しいバット、大切そうに箱にしまわれたグラブにパソコン。丁寧に荷を解く大田の傍らにひっそりと、古ぼけた大学ノートが眠っていた。「生活用品は新しくそろえました」。心機一転スタートを切る巨人の「55」が、唯一寮に持ち込んできた宝物は高校3年間のミーティングをまとめてきた「野球日記」だった。

 大田

 ミーティングにノートを持っていって、監督さんが話されたことをメモしました。精神的なこととか、技術的なこともいろいろ書いてあります。この先いろんなことがある。「こういう時もあった」と思い出しながら、野球の生活に生かしていきます。

 門馬敬治監督(38)が連日1時間も時間を割き、心を込め行ってくれたミーティング。「長かったけど、いいことしか言っていない」。置いていくわけにはいかなかった。

 「一日一生」という言葉が大器の胸に刺さった。「極端な話ですが、人間はいつ死ぬか分からない。1日をしっかり生きる。今の自分で言えば、いつクビになるか分からない世界。1日の練習を大切に、すべてやり尽くすつもりでやります」。恩師にもらった言葉を座右の銘としスタートを切る。

 船出を祝おうと、暗くなるまでファンは寮の前で待った。年始に立てた「開幕1軍」の目標。丁寧にペンを滑らせ色紙に書いた。「注目されることをモチベーションとしてやっていく。自分では、できる限り体を動かしてきたつもり。明日(7日)も体は動かします」と「一日一生」を貫き、8日からの新人合同自主トレに突入する。

 5冊のノートとともに、真っさらな大学ノートが1冊あった。「大切なことは、書くことで覚える。いい言葉はどんどん書いていきたいです」と習慣は続ける。巨人での「大田日記」がびっしりと言葉で埋まるころ。背番号「55」を背負うにふさわしいスターに成長しているはずだ。【宮下敬至】

 [2009年1月7日8時40分

 紙面から]ソーシャルブックマーク