ルーキーよ、開き直れ!

 ドジャース黒田博樹投手(33)が13日、昨季限りで本拠地の役割を終えた広島市民球場で最後の自主トレを行った。新球場で新人イヤーを迎える新入団の5選手に「新天地での心得」をメッセージとして寄せた。昨季、メジャー1年目から9勝をマークした自身の体験談だけに、環境を大きく変えて戦う新人にとっても貴重なアドバイスになりそうだ。

 カープの後輩たちへの愛情にあふれていた。晴れ渡った広島市民球場。07年まで広島のエースとして君臨した黒田が、慣れ親しんだグラウンドとの別れを惜しむように、感触を確かめながら投げ込んだ。在籍11年で103勝。メジャーでも心の強さを発揮し、1年目に9勝した。環境を大きく変えた状況でプレーするのは新人も変わらない。「新天地での心得」を問われると、自らの経験を語った。

 黒田

 すべてが初めてのことで、新鮮かつハードだった。僕自身、開き直りというか、メジャーに飛び込んで何が起きてもあまり動揺せずにやろうかなと思っていた。日本と野球も文化も違う。ビックリすることも多かったけど、あまり一喜一憂せず、ドッシリ構えてやってきたつもりです。

 長時間移動、試合前練習の短さ、食生活の違い…。腰をすえて「米国式」に向き合ったからこそ、新しい環境でも力を発揮できた。プロの世界に飛び込んできた広島のルーキーにとっても「黒田の心構え」は、貴重な助言になるのは間違いない。8日にはドラフト1位の岩本貴裕外野手(22=亜大)が広島市内のジムで遭遇。「黒田さんはオーラがありました」と感激した様子だった。ハイレベルな世界で戦う黒田の姿は、後輩にとって励みにもなる。

 この日はキャッチボールを行った後、外野でロングダッシュを実施。地歩を築いた場所で汗を流した。

 黒田

 (最後の練習に)寂しい気持ちはあります。FAを取ったときにファンの人がしてくれたことがすごく思い出に残っている。あれが僕の中で一番、市民球場で大きな出来事です。市民球場のマウンドに立つことがないのは寂しいし、心残りかなと思います。

 06年10月、FA行使するか揺れる黒田を引き留めるためファンが試合中に黒田コールを大合唱…。プロ野球選手冥利(みょうり)に尽きる1日は、生涯の宝物だ。「(広島は)若い選手がすごく出てきている。新しい球場ができて、見てみたい。楽しみですね」と話す。カープを去っても、愛着は消えない。明日15日には広島を離れる予定。広島魂を糧に、メジャー2年目の挑戦が始まる。【酒井俊作】

 [2009年1月14日11時51分

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