阪神新井貴浩内野手(32)が16日、真弓明信監督(55)に指導を受けながら三塁ノックに取り組んだ。昨季守った一塁から、キャンプで再転向したばかりだが、真弓監督はその守備に早くも合格点を付けた。さらに、一塁手としての受賞に続いて、2年連続のゴールデングラブ賞を狙えとはっぱをかけた。守備固めは不要とし、フルイニング出場させる考え。新井はホットコーナーを1人で守り抜く。

 真弓監督の声が激しく飛んだ。「OK!」、「コラーッ」。視線の先は三塁線。久慈コーチのノックに懸命に食らいつく新井がいた。後方には木戸ヘッドコーチがトンボを手ににらみをきかせる。フリー打撃中の守備タイムが三塁新井の「プチ特守」となった。

 「グラブを新調したばかりで、始めはなじまなかった。慣れです、慣れ。以前も守っていたし、数多く受けて慣れるようにしたい。とにかく試合では体全部を使ってでも止める」

 新外国人メンチの右翼起用にメドが立ち、布陣の幅を広げることから新井の三塁再転向が決まった。コンバートから2クール目。午前中にはシートノックに投手も加わった投内連係でランダウンプレーを確認した。監督、ヘッドコーチに挟まれてのノックは、逆シングル捕球を徹底。1球たりとも後ろにそらさない気構えは、首脳陣をうならせもした。

 「うまいんじゃない。ミットがグラブに変わるだけで動きは同じ。せっかく一塁でゴールデングラブを取ったのだから、三塁でもね。守備固めは必要ない」

 真弓監督の新井起用方針は、これによりフルイニング出場となる。15日のヤクルトとの練習試合で藤本、坂を三塁に就かせるなど交代要員も控えるが、出番は非常時に限られる。新井も「そう(交代と~ならないように一生懸命やる」と守備固めに頼るつもりはない。

 主に三塁だった広島時代は守備に苦しんだ。エラーは05年の23個がワースト。毎年2ケタ失策を記録していた。阪神へのFA移籍を機に一塁に回り、昨季はわずか1失策でゴールデングラブ賞を初受賞。右打者の打球が痛烈な三塁でも「スローイングが安定しているから大丈夫」と真弓監督は連続受賞に太鼓判を押した。

 左翼の金本と遊撃の鳥谷は、当然のようにフルイニング出場する鉄人。三塁新井もがっちり収まれば、トラの左半分はバックアップ不要となる。【町田達彦】

 [2009年2月17日12時14分

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