<オープン戦:中日10-15広島>◇12日◇岐阜

 中日和田一浩外野手(36)が12日、故郷・岐阜でのオープン戦に初めて「4番・左翼」でフル出場。4安打の大当たりでキャンプから取り組んでいる新打法に手ごたえをつかんだ。ウッズが抜けた4番をだれが務めるかが今季の注目。実力でも、実績でも、最有力候補の和田が、開幕へ向けてギアを上げてきた。

 右へ、左へ。和田が鋭い打球を連発した。2回、広島先発前田健の外角球を逆らわずに右前へはじき返した。ここから「ヒット・ショー」が幕を開けた。3回にも右前打。投手が長谷川に代わった5回には直球を左前へ、7回にも左前へ運んだ。「新打法?

 やることはまだありますが、結果が出ているのでボチボチでしょう」。痛烈なシングル4本。キャンプから挑戦している新打法に手ごたえをつかんだ。

 FA移籍1年目の昨季は打率3割2厘、16本塁打、74打点の成績を残した。ただ、和田は年俸に見合った働きではないと、打撃改造を決意した。昨年のオープンスタンスからスクエアに近い構えに変えた。左足の上げ方も控えめにし、より腰を落とした。「シンプルに打つ」をテーマに試行錯誤を繰り返した末、新打法のベースができあがった。

 オープン戦ではまず、ボールを見ることから始め、その後は引きつけて中堅から右方向へ打つことを徹底した。この日まで14打数5安打の3割5分7厘。すべて中堅から右方向へのヒット。階段を1つずつ上がるように新フォームを築き上げきた。そして、この日の第3打席、初めて強く左方向へ引っ張った。「ボールの見え方はすごくいいので今後はもっと強く振ったり、タイミングの取り方かな」。残り11試合、新打法への挑戦は次の段階に入る。

 またこの日はオープン戦初の4番での出場だった。ウッズが抜けた後の4番をだれが打つのかは今季の大きな注目点。和田自身は打順にこだわりを見せていないが、ここまでオープン戦10試合で4番を務めている新外国人ブランコと比べても、経験、実績に勝る和田が4番候補の本命だ。

 地元ファンの前でフル出場した和田は「(フル出場は)前から決めていました。岐阜ですから。地元でヒットを見せられてよかった。5タコよりはいいでしょう」と笑顔で球場を後にした。故郷に錦を飾った誇りと、新打法への手ごたえ。二重の充実感がにじんだ。【鈴木忠平】

 [2009年3月13日11時37分

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