<広島2-0巨人>◇29日◇マツダスタジアム

 巨人の貧打が49年ぶりの“重症”に陥った。2戦連続完封負けの打線は29日の広島戦でも沈黙し、先発東野峻投手(22)の力投を見殺しにした。散発4安打に封じ込まれて0-2で敗れた。これで27イニング連続無得点。1960年以来となる球団ワーストタイ記録の3戦連続完封負けで、今季初の3連敗を喫した。通算400勝がお預けとなった原辰徳監督(50)は「考える必要があるかもしれない」と打線のテコ入れを示唆した。

 散発の4安打、5回以降は1人の走者も出せなかった。この展開では、巨人ベンチも手の打ちようがない。3試合連続のゼロ行進は実に49年ぶりとなる屈辱。重い足取りでベンチ裏に引き揚げてきた原監督は深いため息をついた。「見ての通りですね」。それ以上に適切な言葉が見つからない。ぐうの音も出ない完敗だった。

 得点源の3番小笠原、4番ラミレスが孤立している。1、2番の出塁率が悪く、得点圏に走者を置いて打つ場面が少ない。たまにチャンスで回ってきても、後ろを打つ選手の状態が悪く、勝負を避けられてしまう。この日も3回表、2死から小笠原が右前打で出塁。暴投で二塁へ進み、ラミレス、谷が連続四球。打率1割台前半のアルフォンゾが打ち取られて満塁のチャンスを逸した。原監督は「打線?

 考える必要はあるかもしれない」と打線組み替えを示唆した。

 情報戦でも揺さぶられた。広島の先発は左腕斉藤を予想していたが、試合開始直前にルイスが1軍選手登録されたため“奇襲”を警戒。アルフォンゾと李を併用している「6番一塁」に偵察メンバーを入れた。篠塚打撃コーチは「ルイスが登録されて考えさせられたのは事実」と明かした。斉藤には5回まで無得点。7回に中継ぎで登板したルイスにも3者凡退で反撃の気力も止められた。心理的に後手に回った影響は小さくなかった。

 先発東野の力投を見殺しにした。22歳の若武者は開幕から5試合、1度も試合を壊すことなく防御率1点台をキープ。本来なら月間MVP当確の内容だが、貧打のせいで結果(2勝1敗)がついてこない。原監督は「東野は素晴らしい、堂々たる投球を見せている。野手はそのことをしっかり理解し、必ず返してくれるでしょう」と、言葉に力を込めた。30日も完封負けなら球団史上初となる。沈黙か、大爆発か-。巨人打線の意地とプライドが問われる一戦になる。【広瀬雷太】

 [2009年4月30日9時21分

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