<日本ハム1-2広島>◇2日◇札幌ドーム

 日本ハム3年目の糸数敬作投手(24)が悔しいプロ初完投だった。「下から上がってきた選手なので1回1回、1人1人が勝負」。シュート、スライダーなど変化球を駆使し、プロ2度目の先発は3安打2失点。がけっぷち、開き直り…。苦しかった思いをぶつけ快投を演じたが、5回のわずか1イニングに泣いた。

 痛打されたのは亜大の2学年後輩、ルーキー岩本だった。2死一塁。134キロ高めを左中間フェンス直撃の二塁打。この日許した最初の安打が適時打だった。「ストライクが入ればいいと投げた、考えが甘かった」。昨年、プロ入団祝いの言葉をかけた後輩に強烈な恩返しを食らった。

 07年に即戦力評価で入団も、今年3月中旬に上手投げをスリークオーターに変更。信念だった球速を捨て変身した。「生き残りをかけて、変わらなきゃと思った」。3年目でやっとつかんだ1軍に、梨田監督は「次も?

 最後まで投げさせたのはそういうこと」と先発を示唆した。

 沖縄出身らしく登場曲は沖縄を題材にした「島唄」を選択。「自分で笑けてきてリラックスできた」。本拠地初登板は、曲を楽しむ余裕もあった。「岩本?

 あいさつに来なかったんで。でも、僕も先発で(亜大の先輩)永川さんに行ってません」。悔しさの中、少しだけ笑みがこぼれた。【村上秀明】

 [2009年6月3日10時13分

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