<横浜0-7中日>◇18日◇横浜

 吉見が勝ち、吉見が負けた-。両先発が同姓対決となった横浜-中日戦は、中日吉見一起投手(24)が無四球完封でハーラーダービートップタイの10勝目を挙げた。完封は今季4度目、そのうち3度が無四球と「ミスターコントロール」ぶりを発揮した。シーズン3度の無四球完封は18年ぶりの快挙。奪三振はトップ、防御率でもトップの中日チェンに肉薄している。中日は4連勝で貯金は今季最多の「13」とした。横浜吉見祐治投手(31)も粘ったが、7回に崩れた。

 吉見が安定感あふれる投球を貫いた。1回1死一、二塁のピンチを切り抜け、4回2死二塁では8番石川を空振り三振に仕留める。横浜は開幕2戦目で完封し、5月15日に10イニングをゼロに封じた相手。相性のよさをそのままに9イニングを投げ切り、3完封目をマークした。球宴前ラスト登板で区切りの10勝目を挙げ、満面に笑みを浮かべ同僚のハイタッチに応えた。

 初めて実現した「吉見対決」を制した。緊迫感あふれる投球とは裏腹に、コミカルな展開だった。場内アナウンスで両チームの先発バッテリーが発表されると「どっちも吉見か」とざわめきが起こった。3回に中前打を放つと、その裏先頭でハマの吉見も同じ中前打を放つ。中日吉見は京都生まれで、6学年上のハマの吉見は同じ近畿の和歌山出身。互いをよく知らなくても同郷の「よしみ」はある。ヨシミが抑えればヨシミも譲らず、中盤まで投手戦が続いた。

 勝負を分けたのは、冷静な判断力だった。今季は昨年行っていなかったウエートトレーニングを取り入れている。「体が重くても、やれば次の登板で楽に投げられるんです」。自分が扱える最大重量の50~60%の重さで全身に刺激を与え、万全の体調を整えていた。試合中も自らを冷静に分析。「調子はよくなかった。やばいな、やばいなと思いながら投げていた。力を抜くようにして投げたらはまってきた」。9回1死一塁では下園を外角球で狙い通りの遊併殺に仕留め、試合を終わらせた。

 これでリーグトップの奪三振も102に増やした。防御率は同僚チェンに迫る2位の1・47。5完投も4完封も無四球試合3度もリーグ1位だ。落合監督が「投げた人に聞いて」とあえて賛辞を控える圧巻の投球だった。

 チームも横浜に10勝1敗。今季5度目の4連勝で貯金を今季最多の13に増やした。首位巨人が勝ったため4・5差は変らないが、吉見がどっしりと構える中日は追撃態勢をいよいよ整えてきた。【村野

 森】

 [2009年7月19日8時56分

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