<巨人3-5中日>◇30日◇東京ドーム

 サンデー男が木曜日でも白星をつかんだ。中日川井雄太(ゆうだい)投手(29)が、巨人との首位攻防第3ラウンドに先発し、7回3失点で開幕11連勝を飾った。これまでの10勝はすべて日曜日の登板で挙げたが、木曜日でも緩急自在の投球を披露。シーズン11連勝は球団新記録で、ハーラーダービーでもヤクルト館山に並んだ。規定投球回数にも到達し、防御率2・83で6位にランクイン。チームは首位巨人に再び1・5ゲーム差とした。

 小さく握った拳に、川井の思いが詰まっていた。2点差に迫られた7回2死。坂本を中飛に打ち取ると、ガッツポーズ。ベンチに戻るとポーカーフェースを崩し、力強いグラブタッチで野手に感謝を伝えた。「(連勝は)たまたまです。僕の時はいつも打者の方が打ってくれるので。最初に点を取られてしまったので、何とか1点でも少なく抑えていこうと思った」と、淡々と振り返る。

 前半戦は日曜日に10連勝を飾ったが、後半戦の初登板は木曜日。「いつでもいけるようにと言われていたので」と、曜日にこだわるはずもなかった。前日29日にチームの連勝記録は9で止まったが、低めを丁寧に突く持ち味を出し、再び首位巨人追撃への流れを引き寄せた。

 初めて選ばれたオールスターでは2回6失点と打ち込まれたが「あれはお祭りだから。最初の登板なので、いいピッチングをしたかった」と、イニングごとに気持ちを切り替え、大量点は許さなかった。

 グラウンドを離れても、常に向上心を忘れない。昨年7月、相撲の名古屋場所中、知人の紹介で伊勢ヶ浜部屋を訪問。日馬富士、安美錦らとともにちゃんこをつついた。体作りのためにしっかりと食事をとる、力士のプロ意識を肌で感じ取った。今年はオールスターに選ばれたことで行けなかった。それでも「もしまた機会があれば、今度はトレーナーの方とかにも話を聞いてみたい。何か参考になることがあるかもしれないですからね」と貪欲(どんよく)だ。常に何かを吸収しようとする姿は変わらない。

 この日の勝利で、55年の石川克彦、89年の西本聖の10連勝を抜き、球団新記録となる11連勝。だが「後からみればすごいと思うかもしれないけど、記録をつくるのではなく、チームが優勝すればいい。優勝した後に、できたと思えばいい」と、フォア・ザ・チームを忘れない。

 勝ち星も再びヤクルト館山に並び、リーグトップタイの11勝。この日、7イニング以上を投げたことで、規定投球回数にも到達した。だが、おごりはまったくない。「まだ後半戦は始まったばかりなので、1つずつ投げていきたい」。連勝街道をどこまでも歩み続ける。【福岡吉央】

 [2009年7月31日9時19分

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