<中日2-0横浜>◇23日◇ナゴヤドーム

 中日中田賢一投手(27)が横浜打線を3安打に封じ、今季初完封で3勝目を挙げた。序盤は球威不足に苦しんだが尻上がりに調子を上げ、5者連続を含む自己最多タイの12三振をマーク。リーグ打点王を争うブランコ、森野による2点の援護を守り切った。この日勝った首位巨人に2・5ゲーム差で追走。25日からの直接対決3連戦(ナゴヤドーム)に勢いをつけた。

 圧巻の投球だった。7回のマウンドだ。カウント2-1から横浜の先頭打者の吉村を内角のカットボールで空振り三振。続く、石川をカウント2-2から146キロ直球で見逃し三振。代打内藤はカウント2-2からフォークで空振り三振を奪った。3者連続で三振を奪い、自己最多タイとなる12奪三振。ナゴヤドームのボルテージが一気に上がり、普段感情を表に出さない中田はグラブをたたいて、ほえた。

 納得の今季初完封だ。この日は序盤は140キロ台前半だった直球は回を追うごとに球速を増した。6回には最速の148キロ直球で佐伯から空振り三振。完全に波に乗った。中田は「(球威を)抑えていたわけではない。中盤から直球が良くなった。最多タイ三振?

 (三振を取った球は)良いボールが多かった。フォークもよく落ちた」と今季3勝目を笑顔で振り返った。

 かつて落合監督に「暴れ馬」と名付けられた右腕は、微調整を繰り返してきた。前回登板した8月16日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)では6回1失点ながら、7安打3四球の内容に不満が残った。この1週間は全体練習が終わっても近藤投手コーチとキャッチボールをするなど、リリースポイントを確認。「抜けた球が多かったんで(近藤投手コーチに)いろいろアドバイスしてもらった」と修正を図った。

 チームの窮地を救った。前日22日は投手5人をつぎ込んだが、延長11回の末に敗戦。最後は連続試合セーブを「20」まで伸ばしていた守護神岩瀬を投入したが勝ちきれなかった。森バッテリーチーフコーチは「昨日の今日だからな。もちろん準備はしているが、気持ち的な面が大きい」と説明。疲労がたまっているリリーフ投手陣を休ませたことは大きな意味を持つ。

 落合監督は「今日は(中田)1人で投げさせてもいいんじゃないか。あれくらいなら」と孝行息子を手放しで褒めた。今季初のお立ち台に上がった中田は観衆に向かって「またこのようなピッチングができるように頑張ります。応援してください」と頭を下げた。

 25日から2・5ゲーム差で追走する首位巨人との3連戦。大一番を前に背番号「20」が、チームを勢いづかせた。【桝井聡】

 [2009年8月24日10時50分

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