<中日4-2ヤクルト>◇12日◇ナゴヤドーム

 守っても和田!

 打っても和田!

 中日和田一浩外野手(37)が、9回2死満塁のピンチで勝利をもぎ取る好プレーを披露した。抜ければ同点、逆転となる左中間への一打を執念でキャッチ。打っては約1カ月ぶりとなる25号2ランなど、攻守にわたる活躍でチームを3連勝に導いた。苦手だったヤクルトにこれで4連勝、3カード連続の勝ち越しを決めた。

 観客の悲鳴が鳴り響く直前に、和田はスタートを切っていた。4-2で迎えた9回裏、1死満塁。ヤクルトの代打川本が守護神・岩瀬から放った打球は左中間へ。抜ければ同点、いや逆転…。和田は全力で走り、ボールをもぎ取った。決して守備範囲が広いとは言えない男が、執念でキャッチしての勝利だった。

 「(打球が飛んできて)ドキドキはしました。(打球が)失速したので飛びつく感じかなと思った。でもあれは普通のプレーだと思います」。和田はマウンドで待ち受けた岩瀬と笑顔でハイタッチを交わした。

 本職のバットでも結果を残した。1点リードの4回、1死一塁。カウント1-2からヤクルト先発押本の4球目。高めの141キロ直球を迷いなく振り抜いた。打球は勢いを増して舞い上がると、左翼席の中段に突き刺さった。8月14日ヤクルト戦(ナゴヤドーム)以来、23試合ぶりの1発。和田は「久しぶりにバットの芯に当たったという感じがした。ホームランを狙ったわけではないが、しっかりした形で打とうと思っていた。ホッとしました」。手に残る感覚をかみしめるように、ゆっくりとダイヤモンドを1周した。

 落合監督の助言は効果抜群だった。試合前のフリー打撃後、約10分間にわたる身ぶり手ぶりのマンツーマンレッスンが始まった。前日11日のヤクルト戦でも2回の攻撃中にベンチでアドバイスを受けていた。和田は「バットの出方が良くなかったんで、いろいろと教えてもらった」と具体的な内容は避けたが、打撃で悩んだときはいつも指揮官の教えを請う。2人でつくり上げてきた打撃といっても過言ではない。

 和田は試行錯誤を続けていく。6月中旬には一時、3割2分4厘まで上昇した打率も3割2厘まで落ち込んでいる。試合に出場しながら、ベストの打撃を追求している。「そんなに簡単に(打撃は)良くなるものではないが、苦しみながらも良くなる方法を探って結果を残していくしかない。先のことは考えず、とにかく1試合ずつですよ」。シーズンはまだ終わっていない。和田はこれからも最高の打撃を追求する。【桝井聡】

 [2009年9月13日12時15分

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