<横浜8-1阪神>◇21日◇横浜

 ジェントルマン阪神真弓明信監督(56)が、まさかの怒声を響かせた。苦手の横浜三浦の前に打線が沈黙しての完敗。クライマックスシリーズ(CS)進出がかかる3位争いで、なかなか抜け出せない現況に「残り1戦1戦。順位は関係ない!」とピシャリ。巻き舌口調で、歌舞伎役者のようなみえを切った。単独4位に浮上した広島と0・5差。ナインにカツを入れる超本気モードの「パフォーマンス」も飛び出した。22日こそは負けられない!

 惨敗を喫した長い帰りの通路。しのぎ合いが続くサバイバルマッチの最中に、指揮官の怒声が響いた。ヤクルト、広島との三つどもえが続く現状に「なかなか3位争いから抜け出せないが」と質問を受けた時だ。

 真弓監督

 3位争いといっても、残り1戦1戦でやっているから。順位争いとかは関係ないって…言っとるだろおおお~!

 

 昨秋の就任以来声を荒らげたことがないジェントル指揮官が、まさかの巻き舌口調になった。しゃべり出しは穏やかだったが、徐々にテンションが上がり、語尾で沸点に達した。

 質問者にグッと顔を近づけて歌舞伎役者のようなみえを切った。左足をスッと上げて、おしりに蹴り上げるようなそぶりも見せた。ただ次の瞬間、凍り付きかけた周囲の報道陣に対し、ニヤリと笑って見せた。その後の質問にはあっさりとした口調で受け答えした

 もの静かな指揮官に不似合いなパフォーマンス。それほど痛い黒星で、苦しい順位争いなのだろう。広島の難敵ルイスを待球作戦で攻略し、今季最多14得点の大勝で乗り込んだ横浜戦。試合前まで阪神戦通算40勝17敗の天敵三浦にもチーム一丸で挑む方針だった。

 初回に幸先よく先制した。同点に追いつかれた2回の攻撃前には早くも円陣で、首脳陣から「みんな気合い入れていこう」とゲキも飛んだ。岡野手チーフコーチは「とってとられての展開だったから」と説明。しかし10安打で12残塁と決め手を欠いて、三浦に今季4敗目。指揮官は「今日の三浦はあまりよくなかったんだけど。先に点をとられて自分のピッチングで投げられてしまった」と話した。

 投手陣の大黒柱安藤も、4回途中7失点の背信投球だった。同点の3回に自らのボークでリズムを崩して、一挙に4点を奪われた。4回も続投させたが、裏目に出て2点を追加されて勝敗は決した。指揮官は「立ち直って自分のピッチングをしてほしかった」と悔やんだ。

 投打に精彩を欠いて最下位横浜にふがいない敗戦。球界屈指のナイスミドルが「怒声パフォーマンス」を繰り出しても無理はなかった。立ち止まっているひまはない。CS争い最終章へ、指揮官のボルテージも上がってきた。

 [2009年9月22日11時14分

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