<中日10-1巨人>◇28日◇ナゴヤドーム

 中日森野将彦内野手(31)が会心の23号先制2ランで、巨人アレルギーを振り払った。初回1死二塁の場面で、クライマックスシリーズ(CS)での対戦が予想される先発東野の直球を打ち砕いた。これで107打点とし、同僚ブランコを突き放して再びリーグ単独トップに浮上。勢いのついた打線は15安打10得点と打ち勝ち、巨人戦の連敗を6で止めた。CS第2ステージでの大逆襲に向け、力強く前進した。

 鮮やかな先制弾だった。1回、1死二塁。巨人先発東野の初球だった。真ん中に入った甘い直球を森野は見逃さなかった。快音を残した打球は美しい弧を描き、中日ファンで埋まるライトスタンドに吸い込まれた。19試合ぶりとなる23号2ラン。森野は「甘い球を逃さずに積極的にいこうと思っていたら(実際に)甘い球がきたので打ちました。(巨人戦は)初回があっさり終わってましたから」とニンマリ。手のひらに残る感触を確かめるように、ゆっくりと一塁へ走りだした。

 打点王争いは再びセ・リーグ単独トップに躍り出た。この2ランで107打点となった。前日に並ばれた同僚ブランコを、目の前で抜き去った。春先には「(ブランコに対して)4月は日本の投手に慣れる時期。なるだけ楽に打席に入ってほしい」と話したことがあったが、今やタイトルを争うライバル。森野はチームメートの言葉を借りて「トニ(ブランコ)がいつも言ってるけど(打点王争いは)神様しか分からない。みんな必死だから」と笑った。

 巨人アレルギーをぬぐい去った。この試合まで森野の巨人戦対戦成績は打率2割4分8厘、13打点。セ・リーグ5球団の中ではワーストの相性だった。巨人にリーグ優勝を決められた前回の21日からの3連戦(東京ドーム)では11打数ノーヒット。チームは巨人戦6連敗で胴上げを許した。「同じチームに何度も負けるわけにはいかない…」。森野の言葉通り、これ以上、巨人から黒星を重ねるわけにはいかなかった。

 これで中日の巨人との対戦成績は7勝15敗になった。この日、巨人はCSへ見据えてさまざまな選手を試してきた。ベストメンバーでなかったことは確かだ。それでも森野は「まだ借りは返せていない。勝ち癖、負け癖というのもあるから、あと2つは負けられない」。CS第1ステージを勝ち上がれば、待ち構えるリーグ王者。あと2試合。徹底的に巨人をたたく。【桝井聡】

 [2009年9月29日10時12分

 紙面から]ソーシャルブックマーク