<広島9-5横浜>◇28日◇マツダスタジアム

 久々の快勝だ。立ち上がりに広島打線が久々に爆発、小窪哲也内野手(24)の2本の適時二塁打など、面白いように打線がつながり、2イニングで7点を奪取するなど12安打で9点を挙げて連敗を5でストップ。投げては青木高広投手(27)が6回2失点の好投で2勝目をマーク。クライマックス・シリーズ(CS)進出がきわめて厳しい状況に変わりないが、奇跡を信じて勝ち続ける。

 小窪が広島打線猛爆の導火線だった。まずは初回だ。先頭の東出が安打で出ると、小窪はバントの構えからヒッティングに出て左中間を破る。東出が一塁から一気にホームイン。先制の適時二塁打だ。「強く叩くことだけを考えていました。先取点が取れて良かった」と振り返った。

 これで横浜先発吉川のリズムを崩すと、さらに天谷が四球で歩いてチャンスが広がり、4番栗原も続く。スライダーを捕えて左前へ運んだ。最近不振をかこって悩める主砲も、23打席ぶりのヒットがタイムリーとなり「久しぶりに自分の感覚で打てた。もう1本欲しかったというのもあるけど、今まで全然打ってませんでしたから」と笑顔が戻った。このあとマクレーンにも中前タイムリーが出て初回に4点を先取した。

 2回にも、無死一、二塁から小窪が横浜2番手松家から右翼線を破るタイムリー二塁打。外角高めのまっすぐを「逆方向へ引っ張る気持ちで打ちました。狙い通り、しっかり叩くことができた」とこちらも会心の二塁打だった。

 CS進出の勝負どころだった直前の巨人との3連戦では、打線が金縛りにあったようにふるわず、3試合でわずか3点しか取れなかった。巨人に3タテを食らい、チーム自体も5連敗とCS進出争いからほぼ脱落してしまった。

 だが、そんな中で小窪はプレッシャーをものともせず、前日の巨人戦でもやはり2本の二塁打を放ち意地を見せた。そしてこの日は「プレッシャーっていいもんですね」と言い切った。昨年、142試合目までCS進出争いをしたチームの中で、新人だった小窪はギリギリの勝負という貴重な体験をした。「だから今季は、開幕から自分にプレッシャーをかけてきました」と笑った。

 だから、小窪はあきらめていない。お立ち台で叫んだ。「地元に帰ってきて、こんなに応援してもらった。明日も、絶対に勝ちます!」。やれることは、奇跡を信じ、勝ち続けることだけなのだ。【高垣

 誠】

 [2009年9月29日11時3分

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