ソフトバンク王貞治球団会長(69)が「現場復帰」を果たす。孫正義オーナー(52)が30日、11月の宮崎秋季キャンプで王会長が2軍選手を指導するプランを明らかにした。王会長の秋季キャンプ参加は07年以来2年ぶりのこと。また、同日には秋山幸二監督(47)が、今シーズンの報告を行い、ソフトバンクグループを挙げて来季優勝を目指すことも明らかになった。

 悲願のソフトバンク初Vへ、孫オーナーが“秘策”を明らかにした。「王会長もファームの方を指導していただきたい。会長も(2軍選手の成長を)気に留めている。(王会長が)宮崎に直接指導に参加したいとおっしゃっている、とお聞きしました。体はいつも心配していますが、選手のみなさんも頑張っていただきたい」。王会長による秋季キャンプ中の2軍選手指導プランを公表した。

 若手育成がホークスの課題だ。小久保、松中、川崎ら固定選手が多いのは、若手の突き上げのなさの裏返しでもある。今季は長谷川、明石の台頭もあったが、選手層の薄さが致命傷となり、優勝を逃した。若手の練習がメーンとなる11月の宮崎秋季キャンプで、王会長の直接指導がチーム力アップの秘策というわけだ。

 もともと、王会長の若手育成にかける情熱は並々ならないものがある。昨年、監督退任の際にも「本当は2軍監督みたいなものをやりたい。若い選手の白い布みたいなのをどういう色に染め上げていけるか」と口にしたほど。昨秋にチームは秋山新体制となった。この1年、自身が注目されることを避けるため、率先して現場に顔を出すことを控えたが、今回のキャンプ視察は、秋山体制を最大限バックアップしようという決意の表れに違いない。

 もちろん、多忙な王会長だけに、キャンプ完走というわけにはいかない。9月には腹部手術を受け、体調次第という流動的な部分も残されている。それでも、孫オーナーは「会長もチームのことを大切に思っている。(ソフトバンクの)一丸となった結束は誇れるものがある」と秋山監督とのタッグに期待を寄せた。

 球場こそ違うが、1、2軍が同施設内で練習を行うとあって、メリットははかりしれない。ソフトバンクが球界に参入して以降、初の優勝へ、早くも態勢を整え始めた。

 [2009年10月31日11時30分

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