30発で40歳も現役!

 ソフトバンク小久保裕紀内野手(38)が29日、来季V奪回をかけて05年以来となる30本塁打を目標にぶち上げた。全試合出場しながら18本塁打に終わった今季を振り返り、現役続行の「分岐点」を感じ始めたと告白。4年契約の最終年に、もう1度「アーチスト」として復活する決意を固めた。この日は故郷の和歌山市で開催された少年野球大会に参加。子どもたちに刺激されて原点回帰を宣言した。

 バックネット越しにグラウンドへ向けた目がキラキラ輝いた。故郷の和歌山で開いた「小久保裕紀杯野球大会」に参加。小学生たちの全力プレーと笑顔、涙を見せられ、小久保の腹は固まった。来年、自分がやるべきことが明確になった。

 小久保

 今年は全部試合に出て18本。体は元気なのに。骨折やけがで出られなくて、というのではないし、分岐点と感じながらのシーズンだった。来年はホームランにこだわりたい。30本を、もう1回打ちたい。

 「分岐点」とは現役続行か引退のそれを指す。4年契約の最終年を迎える来季にかける強い思いを、デリケートな言葉で表現した。

 今季はアーチを捨て、チーム打撃に徹する場面も多かった。ただ、逆方向への飛距離が落ち、1発を狙える場面でも、打撃がこぢんまりしたとも感じていた。「子供たちにはよく長所を伸ばしなさいと話をしている。16年間プロでやってて自分(の長所)はやっぱりホームランです」。故郷で思い起こしたのは、プロ野球人としての原点。目標ラインを問われ、05年以来の30発と自然と口にしていたが、これが現役続行の判断基準の一つとなりそうだ。

 「アーチスト」復活に向け、すでに週4勤を基本とするウエートトレで始動。来年1月には米アリゾナ自主トレで10年仕様のフォームに着手する。「いかに力を抜けるか。球が来る直前まではバットが落ちそうなくらいで。いろんな人にアドバイスをもらって、それが共通していること。今年、いくつかそれをやれていた」。王会長ら一流の長距離砲たちに共通する極意、「脱力打法」を手にすれば、また一つ壁を突き抜けるかも知れない

 「金本さんは40歳すぎても成績を残されているし、自分もあきらめない」。阪神金本は41歳にして連続フルイニング出場試合数などの記録を更新中。今年、顔に霧吹きで水を吹き付けてから打席に向かったのも尊敬する金本の精神統一をまねたものだ。「1年、1年勝負という気持ちが強くなるシーズン。優勝するために何でもするのは変わらないけどね」。チーム最年長の小久保が来季、30本の放物線を描き、V奪回、そして鷹の鉄人の称号を手にする。

 [2009年11月30日11時20分

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