日本ハムが、小林投手コーチの遺志を受け継いでキャンプインする。1軍投手コーチ小林繁氏(享年57)の心不全による急死から一夜明けた18日、目前に控えた2月の春季キャンプは同氏が固めていた指導方針を基本的に踏襲し、乗り切る方向性を固めた。後任は白紙だが、すでに1、2軍のメンバー振り分け、調整法など大枠を決めており、それをガイドラインに設定した。

 通夜は19日午後6時から福井市松本4の8の7、千福寺りんどうホールで。告別式は20日正午から同所で。喪主は妻静子(しずこ)さん。

 残してもらった遺産が、失意から再スタートする土台になる。日本ハムが亡き師の教えを受け継いで、パ・リーグ連覇、昨季果たせなかった日本一へ挑戦することになった。開始まで2週間を切った2月1日からの春季キャンプを当面は小林氏が生前に示していたプランにのっとって、投手陣強化を行う方針を決めた。

 26日のスタッフ会議を経て発表予定だったキャンプの1、2軍の投手陣の振り分けなど、同氏はすでに原案を作成していたという。球団幹部は「大きく変えることはない」と、小林イズムを継承したキャンプ方針を説明した。

 急死する5日前、12日のスタッフ会議などで意見交換し、今季から2軍へと入れ替わりで配置転換された吉井投手コーチは「小林さんのプランがあるので、混乱はないでしょう」という。キャンプ中の2月11日に1度、2軍を視察して入れ替えをするなど具体的な要望を、梨田監督へ伝えていた。可能な限り、その青写真に沿って、予想外の悲報と向き合うことになった。

 この日、福井市内の自宅を、指導していた少年野球「オールスター福井」の横山耕治代表(47)らが弔問。1月10、11日の指導が同チームとのお別れになった。「いつもは投手に口うるさく言わないが、その時は違った。今思えば…」と声を詰まらせた。日本ハムで現場を離れた後は少年野球、独立リーグ福井の指導にあたり、福井県の野球を盛り上げる夢も語っていたという。

 後任コーチは現状では白紙。キャンプまでをメドに新任を立てたい希望はあるが、梨田監督は「その話はしたくない」と気持ちの整理がついていないという状態だ。

 幻の名伯楽にはしない、という選手、スタッフの思いとキャンプからともに戦う「小林コーチ」の強い遺志。2つがシンクロした時、逆風は、追い風に変わる。【高山通史】

 [2010年1月19日8時36分

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