<阪神1-7広島>◇12日◇スカイマーク
右の神様はオレだ!
阪神矢野燿大(あきひろ)捕手(41)が、今オープン戦初安打を豪快な代打アーチで飾った。98年の阪神移籍後では、オープン戦も含めて自身初となる「代打弾」で“プロ20年生”としての存在感を発揮。城島の加入により、正捕手としては厳しい立場に追い込まれているが、チーム構成上手薄な右の代打の切り札として大きな期待を抱かせた。
内角に入ってきた球に、自然と体が反応した。矢野が、阪神に移籍後は自身初となる代打アーチをお見舞いした。6回1死。カウント0-1からのシュートを豪快に振り抜くと、打球は一直線に左翼席へ。打った本人が苦笑いを浮かべるほど、痛烈な弾丸ライナーだった。
矢野
たまたまだよ。自分でも入るとは思わなかったから、必死に走った。ただ、ここまで打ててなかったから、やっぱりうれしいね。何とか(打ちたい)という気持ちでいたから。
今オープン戦6打席目にして出た初安打が、ひと振りで流れを変えることのできる代打弾。ここまで5打数無安打4三振と苦しんでいただけに、自然と笑みも広がった。
喜んだのは、きっと本人だけではない。ベンチから打席へと送り出した真弓監督もその1人だろう。今年2月のキャンプ中。指揮官は矢野の起用法について「代走はないだろうが、ベンチにいる以上、代打もそう(ある)」と右の代打要員としての構想を明かした。
捕手でありながら、通算打率が2割7分4厘を誇る矢野の打撃センスを生かすには、ここ一番での勝負どころと見込んだ。阪神には左の代打として神様桧山の存在があるが、ここ数年は右の代打として絶対的な存在がいない。空白を埋める働きができるのは、捕手ならではの視点で配球を読んだ打撃もできる矢野が最適任者だった。
年下でありながら、打って守れる城島の存在は大きい。城島の阪神移籍が決まった時、自身の移籍も頭をよぎったという。だが、阪神というチームは「自分の人生を変えてくれた球団」と恩義を感じ、タテジマでプロ生活を全うすることを腹に決めた。第一線で活躍してきた経験から、今でも正捕手の座をあきらめたわけではない。ただ「第1に捕手として出るためにやるが、代打なら代打で頑張らないといけない」と現状を受け入れる覚悟もある。
オープン戦今季初出場となった9日の日本ハム戦(京セラドーム)の試合前。阪神ベンチには相手の練習に目を光らせ、新戦力をチェックする「捕手矢野」の姿があった。阪神で12年間、正捕手を務めてきた自負もある。代打として自身の働き場を見いだすかの葛藤(かっとう)もあるだろうが、チームの勝利を思う気持ちは他のナインと変わらない。少なくとも、「代打矢野」という切り札がチームにもたらす影響は、計り知れない。
[2010年3月13日10時56分
紙面から]ソーシャルブックマーク



