<中日1-0ヤクルト>◇19日◇ナゴヤドーム

 チェン、開幕いける!

 中日チェン・ウェイン投手(24)がヤクルト戦に先発し、6回を無失点に抑えた。前回登板の13日西武戦では自己ワーストとなる8失点の乱調だったがきっちりフォームを修正。開幕前ラストマウンドで、自慢の速球を取り戻した。1週間後に迫った開幕に向けて準備完了。今年も先発ローテの左の柱としてシーズンフル回転だ。

 わずか6日間で本来の姿を取り戻した。前回、13日西武戦で自己ワーストとなる8失点を食らったチェンが、この日はほぼベストメンバーのツバメ打線を6回まで無失点。課題だった球威も前回より5キロ増の最速148キロまで戻し、1週間後に迫った開幕に向け、不安をぬぐい去った。

 チェン

 きょうは0点に抑えられてよかった。内容には納得しています。真っすぐの走り、威力が戻って、前よりもだいぶ良くなったと思う。

 試行錯誤の5日間。多くの人の声に耳を傾けた。森ヘッドコーチや谷繁からは、足を上げて体重をためてから投げるようアドバイスされた。近藤投手コーチからは、腕の位置が下がっていることを指摘され、素直に従った。

 週明けにナゴヤ球場に戻ってからも、そんな姿勢は変わらなかった。この日バッテリーを組んだ小山から、右肩の開きが早いことを指摘され、2軍を担当している稲葉投手コーチや長谷部バッテリーコーチにも相談に乗ってもらった。

 さらに、スコアラーが用意した、自身の投球フォームを収めた過去の映像を何度もチェック。遠投も繰り返し、修正したフォームを体に覚え込ませた。すべては本来の球威を取り戻すためだった。

 チェン

 前回はボールに威力がなかった。まだ100%じゃないけど、60~70%くらいの状態にはなってきた。あとは開幕までに調子を100%に上げたい。

 この日は3回と6回以外は、毎回先頭打者に出塁を許し、得点圏に走者を背負うピッチングが続いた。それでも後続を抑え、得点は許さなかった。開幕前、最後の登板で帳尻を合わせた。

 ここまで開幕投手争いは吉見が1歩リードしてきたが、これでチェンも開幕を任されても問題のない状態に“追いついた”。チェン自身は「それはまだ分からない。自分の調子を上げることしか考えてない」と話すにとどまったが、中6日での登板ならばズバリ3・26の開幕戦。いずれにせよ、頼れる左腕の復調はチームにとって大きなプラスだ。【福岡吉央】

 [2010年3月20日10時50分

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