<巨人7-9阪神>◇13日◇東京ドーム

 ドドドド、ド~ンと大逆転や!

 6点差がなんぼのもんじゃい!

 ド派手に5発の本塁打攻勢で、伝統の一戦では34年ぶりとなる大逆転勝利をおさめた。決勝弾は4発目の阪神桜井広大外野手(26)。1点差から巨人が追加点を挙げた直後の8回表1死一、二塁で3ランを左翼席に突き刺した。不振からスタメン落ちも経験した苦心の桜まで満開。超猛虎打線が巨人をねじ伏せた3連勝で貯金1を作った。

 夢のような一瞬だ。ゆっくり、ゆっくりと、打球が左翼席を目指す。阪神桜井はうれしさをかみしめながらダイヤモンドを回った。一塁ベンチ前、最後は181センチ、94キロの巨体をブラゼルに抱き上げられた。

 「ずっとヒットが出ていなかった。チャンスをもらっている中で期待に応えたかった」。

 序盤で6点ビハインドを背負いながら、6回の猛攻で1点差に。すぐさま2点差に突き放されて迎えた8回1死一、二塁だった。「ああいう時はどんどん振っていこうと思った」。巨人豊田の初球、真ん中高めの125キロフォークを強振。3月28日横浜戦(京セラドーム大阪)以来、16日ぶりの1発は逆転の3号左越え3ランだ。実に19打席ぶりのヒットで、大逆転劇の主役を演じた。

 苦悩に苦悩を重ねた。簡単に右翼レギュラーを明け渡す訳にはいかない。8日の巨人戦(甲子園)では1打席凡退でベンチ行きを命じられ、9日、10日のヤクルト戦(甲子園)はスタメン落ちした。この日も好機で凡退したが、最後の最後にすべてを帳消しにする値千金弾だ。「今まで迷惑をかけた。しっかり返せるようにしたい。明日からもしっかり集中して大事にいきたい」。巨人戦では34年ぶりに6点差を逆転しての3連勝。主役を演じた男の復活は、間違いなく虎を加速させる。【佐井陽介】

 [2010年4月14日12時0分

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