<西武3-1ロッテ>◇27日◇西武ドーム

 中島(N)が出て、おかわり(O)がかえす。西武“ONコンビ”の必勝パターンが、中島復帰戦からいきなり機能した。1点を追う6回2死。中島裕之内野手(27)が右前打でおぜん立てすると、中村剛也内野手(26)が左中間に運んだ2試合連発の逆転7号2ラン。散々空振りした渡辺俊のカーブがようやくバットに命中した中村は「前の打席も中島さんにチャンスをつくってもらって打てなくて、1回は返したかった」と控えめに喜んだ。

 右脇腹打撲で2軍調整していた中島は、この日が11日ロッテ戦以来の復帰戦。実戦から2週間以上離れても、まるでブランクを感じさせない。2軍の試合には出場せず、ぶっつけ本番で2安打を放ち「2軍で死球をぶつけられるのも嫌だったし、練習で合わせようと思った。実戦勘?

 10日休んだからって変わらない」と自信があった。1打席目に3球続いた胸元シンカーで右飛に倒れたが、4回には同じようなコースの初球を、腕を体に巻き付けるようにバットを出して右中間二塁打。チーム内外で“天才”と呼ばれる感覚は、少しも鈍っていなかった。

 本拠地ファンが陣取る左翼席には「おかえりナカジ」の文字が躍った。7回に逆転のピンチを迎えた先発岸には「自分の勝ちをしっかりつかめ」とマウンドで声をかけ、チームリーダーとして中心にいた。抹消期間は自宅にこもってテレビ観戦。「ずっと試合に出たいと思っていたので、グラウンドで野球ができて幸せでした」と野球少年のような笑顔で声を弾ませた。

 渡辺監督の狙い通りだった。「無理して試合に出て打撃を崩すのが嫌だった。100%の状態に仕上げてきた」と、4割以上の打率だった復帰前と遜色(そんしょく)ない打撃に、目を細めた。主役が戻り、ロッテとゲーム差なしに肉薄。自らが不在期間、チームが9勝3敗と好調だった中島は「負けだしたと言われるとアカンので、みんなで勝ってくれた分、これから仕事したい」。充電したパワーはありあまっている。【柴田猛夫】

 [2010年4月28日8時49分

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