<中日6-2阪神>◇4日◇ナゴヤドーム

 1度狂った歯車は簡単には戻せないのか。城島健司捕手(33)が苦悩の表情を浮かべ、鬼門ナゴヤドームで中日に5連敗だ。1点リードの4回、森野の安打の後、ブランコ、和田にいずれも初球を狙われ連続被弾。あっさり逆転を許しそのまま敗れた。マークするべき、主軸に打率4割以上を打たれており、城島も反省の思いを口にした。連続3連敗だけは絶対阻止へ、真弓監督も虎の「司令塔」に攻め方の変更を求めた。

 城島の前に、鬼門が立ちふさがった。今季のナゴヤドームは5戦全敗。「僕は去年までのことは知らないが、事実今年は5連敗なので」と、敵地での遠い白星を認めざるを得なかった。

 中日自慢の中軸に決定的な仕事された。1点リードした4回先頭で森野に右前打。続くブランコへの初球は139キロの内角シュート。ボール気味の球で懐をえぐり内野ゴロか、ファウルを打たせる狙いだった。

 城島は開幕前から「初球ストライク」を公言している。ただ実際は絶対にストライクゾーンに投げるという意味ではなく、初球にバットも届かないような完全なボール球は投げないという意味だ。「これだけ初球ストライクと言っているから、打者も早くから振ってくる」と自覚もある。自ら演出した「初球ストライク」の幻想をバッテリー有利に利用していく腹案もあるが、100%裏をとれることはあり得ない。

 この日のブランコへの初球は、相手の得意な低めに入って左翼に逆転2ランを被弾。続く和田には外角スライダーをうまく拾われて再び左翼席へ。城島は「久保の失投ではないです」と前置きした上で「うまく打たれました。長打はいけない。連発も痛かった」。真弓監督は「クリーンアップによく打たれてるね。考え方、攻め方を変えないと。3、4、5番に打たれているのは問題だ」と話した。

 中日の中軸に対して形勢不利は否めない。ポイントはこの日4安打の3番森野だ。城島は「バットの先でもバットが折れてもヒットという状況。3回に1回、回ってくる得点パターンにキチッとはまってしまっている」。前回3連戦前には、ポイントゲッターのブランコ、和田の前を抑えることに全力を注ぐ考えを示していたが、うまくいかない。森野は阪神戦で打率5割4分8厘と異次元の数字を残されている。「彼を抑えないと。もう1度捕手として、しっかり次のゲームに入る前に、考えすぎているのか、もっともっと研究しないといけないのか」と口にした。

 5日も敗れれば、鬼門で2度目の3タテを食らう。次のナゴヤドームは8月6日。心に苦手意識を抱えたまま、3カ月も過ごすことになる。「絶対また戦っていく相手なので交流戦に入る前にそういうのはなくさなきゃいけない」とジョー。何が何でも白星をつかみにいく。【益田一弘】

 [2010年5月5日11時40分

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