<中日6-2阪神>◇4日◇ナゴヤドーム
敗戦の中でルーキー藤川俊介外野手(22)が輝いた。中日先発は右投手の吉見だったが、「8番左翼」で今季2度目のスタメン起用。2回1死一、二塁で左翼線に自身初のタイムリーとなる二塁打。ナゴヤドーム19イニングぶりの得点を刻むと、5回にも二塁打。積極性あふれるバッティングに、守備でもファイトあふれる好捕を披露。近い将来のスタメン候補として大きな期待を膨らませた。
無我夢中だ。両腕を大きく振り、トップスピードのまま一塁ベースを蹴る。何も考えない。ルーキー藤川俊は22歳の若虎らしく、“思いきり”を体現した。
藤川俊
積極的に、という意識があった。1軍ピッチャーは考えたからといって打てないので。
「8番左翼」で先発出場。4月9日ヤクルト戦(甲子園)以来、今季2度目のスタメン起用に応えた。両チーム無得点の2回1死一、二塁。初球から3球ファウルのカウント2-0。中日吉見のフォークについていった。「とにかくボールに食らいついて粘ろう」。左翼線を抜く値千金の先制二塁打。今季25試合目、13打席目でプロ初打点をマークし、虎を勢いづかせた。
2点を追う5回には先頭で三塁線を痛烈に抜く二塁打を放ち、1点差に迫るホームを踏む。守っては4回にフェンスに激突しながら左邪飛をキャッチ。「スタメンで使ってもらっているので、気持ちだけは負けないように、強気でいって…」。4打数2安打1打点1得点。ストライクゾーンに投じられた全11球のうち、10球をスイングする積極性がキラリと光った。
尊敬する先輩の言葉が心に刻まれている。近大時代の背番号は「7」。日本ハム二岡、横浜藤田…。中心選手だけがつけることを許される番号を、背負ってきた。今年2月5日、宮古島キャンプ中にオリックス小瀬浩之外野手(享年24)が亡くなった。近大の2学年上で背番号7を背負った先輩、オフの自主トレを主に行ったこともある先輩の訃報(ふほう)。心が大きく痛み、言葉を失った。
昨年12月。プロ入りが決まり、小瀬さんと食事を共にした。その場でかけられた言葉は今も忘れない。「あんまり何も考えない方がいい。考えすぎたら気持ちが入れ込んでしまうから」-。1年間活躍してから、先輩の墓前で手を合わせようと決めている。今は先輩の教えを胸に秘め、無我夢中で毎日を過ごすだけだ。
完敗で2連敗を喫する中、間違いなく輝きを放った。「打てたのは良かったけど、試合に負けたら意味がない。最後(9回の空振り三振)もボール球に手を出してしまった」。決して気を緩めず、反省を忘れない。毎日が必死。試合後、宿舎に戻った後もウエートトレーニングに汗を流した。藤川俊のがむしゃらさは、虎の貴重なスパイスだ。【佐井陽介】
[2010年5月5日11時41分
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