鬼気迫る出陣だ。阪神新井貴浩内野手(33)が11日、いよいよスタートするセ・パ交流戦に向けて異例の居残り特打を行った。全体練習終了後、1人だけ室内練習場へと直行。1時間以上にわたり、打撃投手を相手にバットを振り込んだ。右肩痛の金本に代わってここまで17試合で4番を務めるが、5月に入っての打率が1割2分5厘(32打数4安打)と急降下。自身のバットが出来がチームの勝敗を左右するだけに、全力で復調を模索した。
交流戦を前日に控えても新井は黙々とバットを振り込んだ。室内練習場に、甲高い打球音が延々と響く。ギリギリまで球を引きつけ、全力スイングではじき返す。不振脱出を図ろうと、虎の4番がもがいた。
新井
自分の中でちょっとしたズレがあった。今日はその修正。簡単に言うと球を(ミートポイントまで)呼び込めてないということ。最近は自分の思うスイングができてないからね。
1時間以上も居残り特打を行った男は、流れ落ちる大粒の汗を気にするそぶりも見せない。それどころか、終了後は白い歯をのぞかせて打撃投手と談笑する姿も見られた。それはどこか、不振脱出のヒントをつかんだような表情だった。
金本の代役として4番に座り、ここまで17試合を戦った。「阪神の4番は特別」と独特のプレッシャーを感じながらも、前半9試合は打率3割6分1厘(36打数13安打)、1本塁打、7打点と打線をけん引した。ただ、5月に入ってその勢いは“小休止”。8試合中5試合で無安打を記録するなど、精彩を欠いた。「今の打撃が続くようじゃダメ。何とかしないと」。2試合連続無安打に終わった9日の広島戦後には、悲壮感さえ漂わせていた。
だからこそ、交流戦の始まる前に自ら動いた。11日は居残り特打以外でも、全体練習中に和田打撃コーチが付きっきりとなり、バットの軌道を確認。打撃ケージを出てロングティーを行うなど、工夫を凝らした練習も見られた。「前掛かりになってた部分もあって、姿勢を起こしたかった」。和田打撃コーチは意図の一部を説明した。
「交流戦をうまく戦い抜いたチームが、レギュラーシーズンでもいい成績を残している。何事も初めが大事」。昨年の交流戦、新井のバットは2割2分6厘と低迷した。同じ轍(てつ)は踏めない。4番としての責任を励みに、新井が交流戦の臨む。【石田泰隆】
[2010年5月12日11時19分
紙面から]ソーシャルブックマーク




