<ヤクルト3-1中日>◇26日◇神宮

 日米200安打ウイークを締めた。ヤクルト青木宣親外野手(28)が、日本球界では史上初となる自身2度目のシーズン200安打を達成した。王手をかけて臨んだ中日戦の1回、右翼席に豪快な先頭打者アーチを放ち、05年以来となる大台に到達した。1安打で200本ジャスト。残り8試合で、3度目の首位打者とイチローの持つシーズン最多210安打の日本記録更新を狙う。

 豪快に決めた。1回、青木は中田賢の3球目の高め速球に反応した。145キロを完ぺきにとらえた白球は、雨に打たれても勢いを失わない。右翼席に突き刺さる通算9本目の先頭打者アーチで決めた。「最高の形で達成できたのがうれしかった」。3回直前には降雨による33分間の中断で試合の成立が危ぶまれ、ベンチで周囲から冷やかされた。「打ち直しかと思った。200安打を2回打つのもアリかと思ったけど…。雨雲を動かすことができた」と笑顔で振り返った。

 節目の記録は豪快に引っ張る一撃だったが、卓越した逆方向への打撃技術でヒットを量産した。早大時代は2番打者としてチャンスメーク。俊足を生かし、三遊間へのゴロで内野安打も積み重ねた。今季200安打中、内野安打も含めれば左75、中55、右70と、逆方向への安打数が多い。

 スポーツ界屈指の俊足も原動力だ。05年オフ、さまざまな競技の選手が身体能力を競うTBSの番組に出演した。ボールの落下と同時にスタートし、ボールが床に着く前に手で払う「ショット・ガン・タッチ」に挑戦。落下地点までの距離の長さを競うゲームで、青木は13メートル60で、ラグビー選手の大畑大介らを抜き最高記録を樹立した。99年に同番組に出演し、13メートル30の当時の最高記録をマークした飯田守備走塁コーチは「体の瞬発力も打撃につながる。俊敏性があるから変化球を追い込んで対応できる」と証言する。

 この日は1安打だったが、イチローの持つシーズン最多記録が見えてきた。イチローが10年連続の200安打を達成した直後、青木は祝福のメールを送ると「(210安打を)越えてくれよ」という返信が来た。「200本がゴールじゃない。210という数字があるので。何とか越えたいと思います」。今季残り8試合、さらなる大記録に挑戦する。【由本裕貴】

 [2010年9月27日8時34分

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