<阪神3-1巨人>◇29日◇甲子園

 阪神真弓明信監督(57)がサプライズの一手を放ち、そして的中した。

 先発メンバーを告げる場内アナウンスに、スタンドがどよめいた。今季初めてブラゼルをスタメンから外し、7番で関本を起用。金本を5番に昇格させ、大幅に打順を入れ替えた。背水の陣で「セキの方が相性がいいということで。しっかりとチャンスをつくってくれた」と、なりふり構わず打った作戦を振り返った。

 ゴンザレス攻略のために練っていた。1点を先制された直後の3回に先頭関本が右前打で出塁。ここから逆転劇が始まった。8回にも右中間を破る二塁打を放った。巨人に重圧をかける大きな働きだ。苦渋の決断だったはずだ。本塁打王を争うブラゼルはゴンザレスに対し、今季11打数無安打7三振と手も足も出ない。一方で、関本はこの2年で14打数6安打2打点。4月14日には本塁打も放っている。「やはり調子のいい選手をね。勝つのが、前提なんでね」と強い口調で言った。負ければ、自力優勝の可能性が消滅し、中日にマジック1が点灯する危機。勝利に徹した采配で、ひとつ目のヤマを乗り越えた。

 巨人とは2年連続で通算成績を五分とし、4連覇を阻止した。「よそのことよりも、自分のところがまだまだチャンスがあるんで、頑張っていきたい」。残り7試合。がけっぷちの戦いはまだ続く。5年ぶりのリーグ制覇の可能性がある限り、勝利の余韻に浸っている暇はない。【田口真一郎】

 [2010年9月30日8時42分

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