赤星2世だ。阪神ドラフト5位の明大・荒木郁也内野手(4年=日大三)が10月31日、東京・府中市の明大野球部島岡寮で球団の指名あいさつを受け、盗塁王を目標に掲げた。武器は50メートル5秒7の俊足。1年目で目標を達成すれば、01年赤星憲広氏以来10年ぶりの快挙となる。快足ルーキーが、2011年真弓阪神の欠かせないパーツとなる。

 機動力野球の申し子だ。荒木の冷静な語り口に、熱がこもっていた。盗塁王への思いを語ったときだ。「自分自身もそれ(盗塁王へのこだわり)はあるし、周りからも走れるということで、そういう目で見られる」。1年目で盗塁王となれば、2リーグ分立以降では01年の赤星憲広氏に次ぐ史上2人目。「機会があれば、どういう考えでやっていらっしゃったのかお聞きしたい」と、あこがれの人への思いも口にした。

 50メートルを5秒7で駆け抜ける。「負けたこと?

 記憶にないです。(自分より)飛び抜けて速い人はいないですね」。東京6大学リーグで通算36盗塁。1試合5盗塁の離れ業をやってのけたこともある。打ってから一塁到達のタイムは3秒9。左打ちの一塁到達は3秒8~4秒1で俊足と言われる。公式記録はないが、球界屈指の俊足ソフトバンクの川崎が今季3秒9と計測された例もある。単純なスピード比較なら、すでに球界トップクラスだ。

 セーフティーバントになれば、3秒7で一塁まで駆け抜ける。明大・善波達也監督(48)も度肝を抜かれたことがあるという。ある公式戦で、荒木がセーフティーバントを試みると、打球は投手の真正面に転がった。「何やってるんだ!

 と、思ったら一塁にヘッドスライディングしてセーフ。どこか3歩分ぐらい飛ばしてきたんじゃないかと思った」と振り返った。

 明大の先輩にあたる平塚企画調査兼スカウト担当は「今、現在では阪神で1番速い。盗塁のスピードもある。まだ、フォームの盗み方とかは未完成だけど、盗塁王を狙える足は持っている」と高く評価する。

 今季チームの盗塁数は、昨季から8つ減って71個。「1年目から、自信を持っているところをどんどんアピールしたい」。韋駄天(いだてん)の飛躍が、生存競争を活性化させる。

 [2010年11月1日10時35分

 紙面から]ソーシャルブックマーク