楽天が、今季限りで巨人を退団する李承■内野手(34)を獲得する可能性のあることが18日、分かった。韓国球界関係者の話を総合すると、16日に巨人との独占交渉期間が終了した李に対し、日本の複数球団が水面下で調査を開始。楽天、オリックスなどが含まれている可能性が高いという。楽天は今オフの補強ポイントに得点力アップを挙げており、李自身も日本でのプレーを熱望している。正式オファーを出せば、交渉がまとまる公算は十分にある。

 星野楽天が断行する積極補強プランに、李承■の名前が浮上してきた。16日に巨人との独占交渉期間が終了したばかり。球団としては、獲得に向けた踏み込んだ調査を行っている段階にない。だが韓国球界の事情に明るい複数の関係者が、李に対し、日本の球団が周辺調査を開始していると証言。楽天に加え、カブレラの来季残留が流動的なオリックスが含まれている公算が高いという。

 特に楽天は飽くなき強化を継続中だ。今オフは得点力アップを重要課題とし、内野手補強を優先する方針からスタート。前アスレチックス岩村の獲得に成功し、退団した中村紀の穴をすぐさま埋めた。FA権を行使したオリックス後藤、前ロッキーズ傘下3Aの松井稼については調査を継続している。

 岩村加入が決まった直後、兵庫・淡路島で講演を行った星野監督は「まだまだ(補強が)あるぞ。淡路島でも動いているんだから」と宣言。岩村のポジションについて問われた田淵ヘッド兼打撃コーチも、「まだだ。すべてのコマが出そろってからだ」と続いた。来季編成を整えてから具体的な陣容を固める方針。補強リストに李の名前が挙がっても不思議はない。

 一方の李は、巨人での5年間は不完全燃焼で終わった。契約最終年の今季は56試合の出場。打率1割6分3厘だった。だが体調面にまったく問題はなく、直球に力負けせずに打球を飛ばす天賦の才は健在。加えて、スラッガーとしての資質だけではない大きな武器がある。

 一塁守備が卓越している。打球への反応、バントに対するチャージが俊敏で正確性が高く、連続守備機会無失策1225の、セ・リーグ記録を保持している。楽天は今季途中に加入したルイーズの残留が濃厚。長打力は李と遜色(そんしょく)ないが、一塁守備では雲泥の差がある。ディフェンスも重視する星野監督の構想下で、李の守備力に白羽の矢が立つことは十分にある。今後オリックスとの争奪戦に発展した場合、李と一塁手を争うライバルはカブレラとなる可能性が高い。両球団の戦力を相対的に見比べても、楽天が交渉上の優位を保つことができそうだ。

 星野監督が日本代表を率いて参加した08年北京五輪の準決勝、韓国戦。李は韓国代表の4番打者として勝ち越し2ランを放った。星野監督の脳裏には、その時の勝負強い打撃が焼きついているはずだ。星野ジャパンを葬り去ったアジアの大砲が、星野楽天で再起を期す-。ドラマチックなシナリオは現実となるか。※■は火へんに華

 [2010年11月19日7時45分

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