24年ぶりの快挙や!

 阪神秋山拓巳投手(19)が22日、兵庫・西宮市の甲子園球団事務所で初の契約更改交渉にのぞみ、100%アップとなる600万円増の年俸1200万円でサインした。今季はシーズン終盤に4勝。虎の高卒1年目では86年遠山の150%アップ以来となる100%以上のアップ。来季は2ケタ勝利を狙う。(金額は推定)

 マウンド上と同じだった。冷静で物おじしない態度。19歳秋山は時折笑顔も交えながら、満足の初更改を振り返った。推定年俸600万円が1200万円。一気に給料が2倍に跳ね上がり、今まで以上に気を引き締めた。

 「初めてなので緊張しました。良い話ができました」

 登板試合、球種、体重、持ち味でもある初速と終速の違いの少なさ…。1時間にわたった球団との話し合いは和やかなムードで進んだ。当然だ。高卒1年目の今季は全7試合に先発し、4勝3敗の防御率3・35。期待以上の結果であることは間違いない。

 投手陣の台所事情が苦しいシーズン終盤に台頭し、8月28日ヤクルト戦(神宮)から4連勝。引き分けをはさんでの3連敗を1度、2連敗を2度、止めた。沼沢球団本部長も「苦しい連敗の後に出てきてくれたことをねぎらった」と高評価を説明した。

 虎の高卒ルーキーでは86年遠山の150%アップ(360万円→900万円)以来、24年ぶりとなる100%以上のアップ。67年江夏(180万円→360万円)、74年掛布(84万円→204万円)が高卒1年目で大幅アップを手にした例があるが、異例中の異例。ただ、秋山は悔しさを忘れないから、浮かれない。

 「8月に上がって4勝は満足できるけど、最後は体力のなさで負けた。今年はどこが良かったのか分からない。来年は自分の持ち味を引き出して、直球で打者を打ち取るスタイルを少しでも求めていきたい」

 10月は疲労もあり、2連敗でシーズンフィニッシュ。球団からも「来年は開幕から1年通して投げてくれ」とゲキを飛ばされた。「これから先、ずっと先発でやっていきたいので体力強化に力を入れたい」。秋季キャンプから続けてスタミナ増を狙い、今後も鳴尾浜、甲子園で走り込み中心の自主トレに励む。

 「実際、1軍で投げたのはわずか。来年は1年目、1軍を勝ち取るんだという気持ちです。開幕1軍、先発ローテを勝ち取ることをクリアして、1試合1試合思い切って投げたい。来季が終わるころに2ケタ勝利できていれば」。

 1年目に12勝、2年目に25勝をあげた江夏を除けば、高卒2年目に2ケタ勝利をあげた虎戦士はゼロ。1年目に数々の快挙を達成した勢いは、来季も止めるつもりはない。【佐井陽介】

 [2010年11月23日11時38分

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