<ロッテ4-6楽天>◇12日◇QVCマリン

 誰彼構わずもみくちゃにされた。ウイニングボールが手元に来た。楽天星野仙一監督(64)は泣いていた。「自然だろう。そりゃ」と、心の源泉から湧き上がってきた感情を隠そうともしなかった。楽天就任以来初めての逆転勝ち。8年ぶりに戦いの場所へと戻ってきた。

 守備の甘さを突かれ先制された上、成瀬は「鉄板状態」の好投。劣勢を転換させた潮目は6回だった。「成瀬の時点で起用を決めてた」左キラーの先頭中島が、外角スライダーを右翼線二塁打した。松井稼が送り聖沢の犠飛。1安打で追い付いた。7回の逆転も2死無走者からの連打。「6回で成瀬のリズムが多少狂ったのでは」と、掲げてきた粘っこい攻撃に納得した。

 伝統球団である竜虎を率いた将が杜(もり)の都へ来た。「なぜこのチームを引き受けたか」という根源を自問することがある。

 星野監督

 現場、フロント。まだ若い。一から強い集団を作る。自分をささげて財産を残したい。

 就任直後、球団事務所に突然現れた。「これからよろしくお願いします。一緒に戦おう」との言葉を職員は信じている。地震対応もフロントと徹夜で行い、最善策を模索した。星野仙一監督が強くしてくれる。誰もが頼り信じているから、もみくちゃにされた。

 「君たちの優しさは、東北の方々に受け入れられたはず。今度は強さを見せよう。決して諦めない強さを見せつけよう。秋には大きく手を振って、報告に行こう」と送り出した選手が勝って戻ってきた。「テレビをつけた子どもたちが、大喜びしてくれたんじゃないか。貪欲に行くぞ」と結んだ。【宮下敬至】