<日本ハム3-12西武>◇12日◇札幌ドーム

 4年連続の開幕投手となった西武涌井秀章投手(24)が、球団初となる3年連続の開幕戦勝利を挙げた。日本ハム打線に9安打されながら要所を締めて3失点。過去5度の直接対決で0勝3敗だったダルビッシュ有投手(24)との投げ合いを初めて制した。5年連続開幕投手のダルビッシュは、西武中島に3ランを浴びるなど7回で自己ワーストの7失点。エース対決は明暗が分かれた。

 勝利を見届けると、ポーカーフェースからようやく笑みがこぼれた。涌井が崩せなかったダルビッシュの牙城。同い年のライバルとして、これ以上差をつけられるわけにはいかなかった。「野手が打って勝たせてくれた。(最初の)3点でいかないと」。1度は同点に追いつかれるなど8回9安打3失点。“6度目の正直”で挙げた1勝にも、7点を奪ってくれた援護に感謝した。

 昨季はチームトップの14勝を挙げながら、エースとして物足りなさが残る1年だった。優勝争いが激しくなったシーズン終盤に不本意な投球が続き、ビッグイニングをつくられるケースも目立った。沢村賞右腕に何が起こっていたのか。

 涌井が沢村賞に輝いた09年、ともに最優秀バッテリー賞を受賞した銀仁朗は仮説を立てた。「(10年は)フォークにこだわりすぎたんじゃないか」。ウイニングショットの1つであるフォーク。昨年は首脳陣からその精度について何度か指摘された。ボールがうまく抜けず、落ちないことに気を取られすぎて腕の振りが鈍くなる。結果として09年シーズンを支えた力強い直球が失われた、と考えた。

 銀仁朗は涌井に「フォークは振ってくれたらもうけもん、くらいで思い切り腕を振ってください」と言ったという。101球のうち、フォークはわずか5球。いい落ち方はしなくても、腕を振らせた。コースが多少甘くなっても球威で押す。5回、金子誠に直球を打たれて同点ソロを浴びても方針は変えなかった。渡辺監督が「攻めの姿勢が出ていた」と言えば、銀仁朗も「ボールは散ってたけど力があった」とうなずいた。

 これで涌井自身開幕3連勝。西鉄時代の稲尾の4連勝に次ぐ、西武では球団記録となる白星だった。多彩な変化球でも、巧みな投球術でもない。力で押すのが本来のスタイル。最高の相手に初めて投げ勝ち、涌井自身もそう確信したに違いない。【亀山泰宏】