<阪神7-4広島>◇12日◇甲子園

 今年もダイナマイトに火をつけるのはマートンだ!

 いきなり1点を先制された開幕戦。外国人選手としてはセ・リーグ初となる開幕戦先頭打者アーチを広島マエケンに浴びせた。パワーアップの予感をたっぷり漂わせる最多安打助っ人が猛虎をけん引する。

 珍しい。一塁ベースを回ったマット・マートン外野手(29)は思わず、手をたたいた。甲子園が騒然とする中、興奮を隠せなかった。虎を救った、と言えば大げさか。シーズン開幕でいきなり度肝を抜いた。

 マートン

 この1本は東北にいるファンの応援がすべてを後押ししてくれたんだと思う。本当のヒーローはその人たちだ。

 開幕戦。いきなり先制点を許し、1点を追う1回裏。1ボール1ストライクから広島前田健の外角高め149キロ直球をたたき、右翼ポール際に届かせた。セ・リーグでは初、両リーグでも54年レインズ(阪急)以来となる外国人選手の開幕戦先頭打者弾で勢いをつけた。ささげる相手はもちろん、東日本大震災で被害を受けた人々だ。

 前日11日、被災地へ子供用の日用品と100万円を寄付したことを明かした。テレビやインターネットで日本という国の惨状を理解し、心を痛めている。「福島原発で作業する方々、無数のボランティアの方々が本当のヒーローだと思う」。一方で、全力プレーで元気を与えるため、開幕への準備も怠らなかった。

 10日に散髪。前日11日は伸びていたひげを整えた。開幕前夜は神戸市内の自宅で映画「アバター」のDVDを鑑賞中、自然と眠りについたという。この日の練習前には室内練習場で20分間の打ち込み。リラックス法から練習法まで、すべてがいつも通り。「ゼ(ッ)コーチョー!

 ホームランを打てたらうれしいね」の宣言通り、1発で勝利への道を切り開いた。

 カブス時代の06年、初めて開幕1軍をつかみ取り、敵地での開幕レッズ戦に6番左翼で先発。主戦投手ハラングから1発を放つなど、3安打と大暴れした。そんな思い出を超える開幕戦になったかもしれない。

 マートン

 みんな、メチャガンバッタ!

 とにかく勝てれば良いんだ。これから143試合、頑張るよ。

 昨季すり足だった左足を大きく上げる、パワー重視の新打法は順調な船出。214安打男の2年目は、映画のようなシナリオで幕を開けた。【佐井陽介】