<阪神2-1広島>◇13日◇甲子園

 地をはうような痛烈な打球が、前進守備の二塁手を襲った。同点の5回1死三塁。阪神マット・マートン外野手(29)が篠田から放った打球は、東出がグラブを差し出す前に右前へ逃げていった。「(2回2死一、二塁の)2打席目は引っかけて遊ゴロ。そこを修正してセンター方向を意識したんだ。ミスした後にチャンスをもらえて良かった」と微調整して、決勝点をたたき出した。

 チームにとっての天敵、篠田の攻略に情報を集めていた。3年間で9戦5敗、自身は昨季13打数3安打。対戦相手の情報をノートにまとめる「メモ魔」ぶりは有名だが、実は父親譲りだ。高校の体育講師だった父は20年以上、アメリカンフットボールのコーチを務めた。指導者としてアリゾナ州の大会で優勝し、NFLに教え子を送り込んだこともある。フォーメーションからポジションをノートに書き込んでいたという。「僕が見ても、おかしくなっちゃいそうなぐらいの量だったよ」と笑った。

 高校進学すると、父は指導者を引退。野球経験はほとんどないにもかかわらず、自身の野球部コーチに就任。チームメートやメジャーリーガーを分析するようになった。「僕は父を見て育ったからね。ちゃんとノートに書いておけば、3カ月後にビデオを見ても分かるからね」。レッドソックス入団後、ノート分析を始めたのは必然だった。

 この緻密さが、勝利を呼び込んだ。「体の調子がゼッコーチョーなんだ。でも、開幕2日目にゼッコーチョーと言うのは簡単。10月になっても同じ状態でいられるようにしたい」と冗舌だ。連勝スタートに真弓監督も「(篠田には昨年まで)ヒットは出ていたけど、最後の1本は出ていなかった。打てなくても、勝ちにつなげるのが大事」とニンマリだった。【佐井陽介】