<阪神2-1広島>◇13日◇甲子園
夜王は健在だ。3万9430人の観衆。照明に照らされたマウンド。阪神ジェイソン・スタンリッジ投手(32)が本領を発揮する舞台が整っていた。
「お客さんがたくさん入って、ナイターの照明があって、応援があって。キャンプからとは全く違う。ファンが見てくれることで(プロ野球は)成り立っている。最高のパフォーマンスをみせないといけない」。
言葉どおりの投球だった。統一球の特徴を生かし、直球をシンカー気味に動かしバットを3本へし折った。乱れたのは4回のみ。「もうちょっとダメージを食らうかと思っていた」。1安打2四球に後逸と暴投も2つ重なりながら、最少失点に食い止めた。7回2安打1失点(自責0)。昨季11勝中、ナイターで10勝を挙げた右腕が、今季初登板初白星を手に入れた。
コイキラーぶりも発揮した。昨年途中に阪神に移籍して以来、広島戦は5戦して4勝0敗と無敵だ。
悲しみに暮れていた。2年目の今季。当初は3月10日に家族を日本に呼び寄せる予定だった。だが、諸事情で予定を変更すると、翌11日に東日本大震災が発生した。24日に日程を変更したが、それも再延期となった。ジョイ夫人(30)には連日、電話で日本の状況を伝えていた。最優先したのは、キャッシュくん(2)の安全。被害が拡大し、前向きな情報を伝えなかったこともある。ただ、異国の地で寂しさが紛れることはなかった。
「『1人でいるのがツラいよ』と話したら、最終的に『そんなにつらいなら行くわ』と言ってくれた」。
この日、愛する2人が見守る中でのベストピッチ。パパは「仕事場」で感謝の気持ちを示した。【鎌田真一郎】



